住居侵入、強盗致死、偽造有印公文書行使、強盗予備、窃盗未遂
判決データ
- 事件番号
- 令和5わ448
- 事件名
- 住居侵入、強盗致死、偽造有印公文書行使、強盗予備、窃盗未遂
- 裁判所
- 東京地方裁判所
- 裁判年月日
- 2024年9月6日
- 裁判官
- 杉山正明、河畑勇、櫻井雅典
AI概要
【事案の概要】 令和5年1月19日、被告人は、テレグラムを通じて募集された強盗の実行犯として、共犯者3名及び氏名不詳の指示役らと共謀の上、東京都狛江市内の被害者A(当時90歳)方に宅配業者を装って侵入した。被告人らは、Aの両手を結束バンドで緊縛し、腹部等を足で蹴り、バールで腹部及び背部等を多数回殴るなどの暴行を加えて反抗を抑圧し、腕時計3個等(時価合計約59万円相当)を奪った。Aは多発肋骨骨折等の傷害に基づく外傷性ショックにより死亡した(狛江事件)。さらに被告人は、翌20日にも同様の手口で足立区内のB方への強盗予備及び窃盗未遂に及び(足立事件)、同月31日には海外逃亡のため偽造運転免許証を行使した。 【争点】 弁護人は、被告人は強盗の共謀はしたが、共犯者がバールでAを殴打することについては共謀しておらず、強盗致死の共同正犯は成立しないと主張した。被告人も、指示役から「侵入時に声を出させないための暴行はあるが、その後の暴行は一切ない」との説明を受けていたと供述した。これに対し裁判所は、犯行グループのテレグラム上で「顔面、喉、鳩尾狙って下さい」等の相当強度の暴行を含む犯行計画が共有されていたこと、被告人のプロフィールとして「バールで人くらい殴れます」とのメッセージが送信されていたこと、被告人が共犯者のバールでの殴打を目撃しても異を唱えず犯行を続けたこと、翌日にも同じバールを持って足立事件に参加したこと等から、被告人も相当強度の暴行を加える犯行計画を認識していたと認定し、強盗致死の共同正犯の成立を認めた。 【判旨(量刑)】 裁判所は、本件が秘匿性の高いSNSを利用した極めて組織性・計画性の高い犯行であり、犯行態様は卑劣かつ悪質極まりないと指摘した。被告人は宅配業者を装ってAを呼び出し侵入する役割を担い、結束バンドでの緊縛やAの地下室への移動、室内の物色等、犯行に不可欠な行為を行っており、自らはバールでの殴打行為を行っていないことを踏まえても重要な役割を果たしたと評価した。強盗致死罪の同種事案の量刑傾向を踏まえ、無期懲役を相当とする最も重い部類には属さないものの相応に重い部類に属するとし、犯行当時特定少年であったこと、捜査に協力して真相解明に寄与したこと等の一般情状を考慮して酌量減軽の上、懲役23年を言い渡した(求刑:懲役25年)。