特許取消決定取消請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、「動画像復号装置及び動画像符号化装置」に関する特許(特許第6768017号)の特許権者である原告(ザイレン・ホールディング・エス.アー.)が、特許庁がした特許取消決定の取消しを求めた事案である。本件特許は、動画像の符号化・復号処理において、動きベクトル候補のリストを用いて最適な符号化モードを選択する技術に関するものである。特許庁は、特許異議申立ての審理において、原告による訂正請求の補正を要旨変更として認めず、訂正も新規事項の追加に当たるとして認めなかった上で、訂正前の特許請求の範囲を前提にサポート要件(特許法36条6項1号)及び明確性要件(同項2号)に違反するとして、請求項1及び2に係る特許を取り消す決定をした。 【争点】 (1) 本件補正の適否に関する判断の誤り(取消事由1) (2) 本件訂正の適否に関する判断の誤り(取消事由2) (3) サポート要件に関する判断の誤り(取消事由3) (4) 明確性要件に関する判断の誤り(取消事由4) 【判旨】 裁判所は、取消事由1ないし3についていずれも理由がないとし、原告の請求を棄却した。取消事由1について、本件補正は訂正の前後で対象とする構成要件の範囲が変更され、訂正請求としての同一性が失われているから、要旨変更に当たるとした。取消事由2について、原告が「動きベクトル候補の数を変更するための制御情報」に該当すると主張した「変更フラグ」「閾値Th」「最大ベクトル数」のいずれについても、同制御情報には該当しないと判断した。具体的には、変更フラグはリスト変更のための制御情報にすぎず候補数の変更を目的とするものではないこと、閾値Th及び最大ベクトル数は候補数の変更に結果的・間接的に寄与するにすぎないことを理由とした。取消事由3について、訂正が認められない以上、訂正前の請求項により発明が特定されるところ、「動きベクトル候補の数を変更するための制御情報」が明細書に記載されていない以上、サポート要件に適合しないとした。取消事由4については、取消事由1ないし3に理由がなく、サポート要件違反により取消しを免れない以上、判断するまでもないとした。