特許料納付書却下処分取消請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 控訴人(原告)は、特許第4827120号の特許権を保有していたが、第11年分の特許料等を所定の期限(令和3年9月22日)までに納付せず、追納期間の末日である令和4年3月22日も徒過した。原告は、特許法112条の2第1項に基づき特許権の回復を求めて、令和4年3月31日に特許庁長官に対し特許料納付書及び回復理由書を提出したが、特許庁長官は同年12月1日付けで手続却下処分(本件処分)をした。原告は本件処分の取消しを求めて提訴したが、原審(東京地裁)は請求を棄却し、原告が控訴した。 【争点】 ①令和3年改正法(令和3年法律第42号)の施行期日に関する附則の規定が違憲無効か(公布から施行まで約2年の期間が長すぎるとの主張)。現行法が適用されれば「故意」がないとして回復が認められるとの原告の主張。 ②改正前特許法112条の2第1項の「正当な理由」の有無。原告が管理を依頼していた弁理士が新型コロナウイルス感染症の影響でうつ病を発症し業務遂行ができなかったこと等が「正当な理由」に当たるかの主張。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、控訴を棄却した。 争点①について、憲法上、法律の公布から施行までの期間を定めた規定はなく、法の適用に関する通則法2条ただし書により異なる施行期日を定めることは妨げられないとした。施行期日の定め方については立法機関の広範な裁量が認められ、令和3年改正法の改正部分は特許料納付に限らず権利回復基準を「故意でない基準」に変更する各規定を含み、各方面への周知や施行準備を考慮すれば、公布から2年以内とする附則の規定は不合理とはいえず、施行日を令和5年4月1日とした政令も違憲とはならないと判断した。 争点②について、新型コロナウイルス感染症の影響により弁理士に業務困難が生じたことを裏付ける的確な証拠が提出されていないとした。また、令和4年2月7日頃に管理不備が発覚した後、追納期間末日まで1か月以上あったにもかかわらず、原告が相当な注意を尽くしたのに客観的に納付できなかったことを裏付ける証拠もないとして、「正当な理由」を認めなかった。