損害賠償請求本訴事件・損害賠償請求反訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告(日鉄テクノロジー株式会社)の元従業員である原告が、船舶の両舷ドラフト差測定装置に関する発明(本件発明)について、過去の訴訟(第三次訴訟)で被告が虚偽の主張をしたため本件特許が冒認出願であるとの誤った判断がされたと主張し、特許の出願・維持費用等781万円の損害賠償と本件特許権が原告に帰属することの確認を求めた(本訴事件)。これに対し被告は、本訴事件の提起は過去の訴訟の判断を不当に蒸し返す不法行為に当たるとして、500万円の損害賠償を求めた(反訴事件)。なお、原告は本件発明をめぐり、第一次訴訟(特許を受ける権利の確認)、第二次訴訟(発明者記載の補正等)、第三次訴訟(特許権侵害)、第四次訴訟(職務発明の対価請求)と4度にわたり訴訟を提起し、いずれも敗訴が確定していた。 【争点】 (1) 被告が第三次訴訟で虚偽の主張をしたことによる不法行為の成否、(2) 本件特許権が原告に帰属することの確認の利益の有無及び本件発明の職務発明該当性、(3) 原告による本訴提起が不法行為を構成するか。 【判旨】 裁判所は、本訴請求のうち確認請求を却下し、損害賠償請求を棄却した。反訴請求も棄却した。 損害賠償請求について、第三次訴訟においても別件出願の拒絶査定確定は当然の前提とされており、被告が虚偽の主張をしたとは認められないとした。また、特許維持費用等は原告自らの判断で支出したものであり、被告の行為との因果関係も認められないと判断した。 確認請求について、本件特許は原告を権利者として有効に登録されており、第三次訴訟の理由中の判断により対世的に無効となるものではないから、確認の利益を欠くとした。さらに念のため職務発明該当性を検討し、原告が在籍していたテクノリサーチ社はドラフトサーベイの改善業務を行っており、原告もその改善活動に従事していたことから、本件発明は職務発明に該当すると認定した。 反訴請求について、第三次訴訟における職務発明の判断は理由中の判断にすぎず訴訟物を異にすること、第四次訴訟でも職務発明該当性が正面から判断されたものではないことから、本訴提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くとまでは認められないとして、不法行為の成立を否定した。