AI概要
【事案の概要】 原告(全薬工業株式会社)は、敏感肌用基礎化粧品「アルージェ(Arouge)」シリーズを2001年から製造販売する会社である。被告(株式会社ハッピーイノベーション)は、令和2年7月30日に「AROUSE」の文字をスクリプト書体風に表した商標(本件商標)を出願し、同年10月29日に第3類(せっけん類、化粧品等)等を指定商品として設定登録を受けた。原告は、本件商標が商標法4条1項10号、11号、15号及び19号に該当するとして商標登録無効審判を請求したが、特許庁は請求不成立の審決をしたため、原告がその取消しを求めて提訴した。 【争点】 本件商標「AROUSE」と原告の引用商標「Arouge」等が類似するか(商標法4条1項11号該当性)が主たる争点である。具体的には、(1)両商標の称呼の認定(特に「Arouge」から「アルージェ」の称呼が生じるか)、(2)外観の類否(6文字中5文字目の「S」と「g」の相違の評価)、(3)指定商品の同一性が問題となった。 【判旨】 知財高裁は、審決を取り消した。まず称呼について、本件商標「AROUSE」は一般には「アロウゼ」又は「アラウゼ」の称呼を生じると認定した。引用商標2ないし4の「Arouge」については、ローマ字読みに倣えば「アロウジェ」又は「アラウジェ」と称呼されるとし、審決が認定した「アルージェ」の称呼は、カナ文字が併記された別個独立の引用商標5を参酌したものにすぎず、引用商標2ないし4自体から「アルージェ」の称呼が生じるとは認められないと判断した。その上で、「アロウゼ」と「アロウジェ」、「アラウゼ」と「アラウジェ」を対比すると、末尾の「ゼ」と「ジェ」はいずれもサ行濁音で母音「e」を共通にするため、時と所を異にして称呼するときは明確に聴別できず、称呼において酷似すると認定した。外観についても、6文字中5文字目のみの相違であり、語中に埋没して見誤ることも多いとした。指定商品も同一であることから、両商標は出所混同のおそれがある類似商標であり、本件商標は商標法4条1項11号に該当するとして、審決を取り消した。