AI概要
【事案の概要】 本件は、原告(日本経済新聞社)が、被告(月刊誌「選択」の発行会社)の発行する月刊誌及びウェブサイトに掲載された記事により名誉を毀損されたと主張して、不法行為に基づく損害賠償3300万円、ウェブサイト上の記事の削除及び謝罪広告の掲載を求めた事案である。問題の記事は「『広告・協賛金』狙いで歪む報道 日経新聞『脱炭素商売』の無節操」との見出しで、原告の石炭火力輸出支援停止に関する報道や日本製鉄に関する報道が誤報であること、原告が脱炭素ビジネスのために報道を歪めていること等を内容とするものであった。 【争点】 ①本件記事の各記述(記述1〜6及び見出し)につき名誉毀損による不法行為が成立するか(社会的評価の低下の有無、違法性阻却事由の有無)、②原告に生じた損害及びその額、③ウェブサイト上の記事削除の要否、④謝罪広告掲載の要否。 【判旨】 一部認容(220万円)。裁判所は、本件記述1〜6及び見出しのいずれについても原告の社会的評価を低下させるものと認定した。違法性阻却事由については、記述1(石炭火力輸出支援停止報道が誤報との摘示)につき、首相が約2か月後のG7サミットで輸出支援終了を表明したこと、時事通信・共同通信も同様の報道をしていたこと等から誤報との事実は真実と認められず、被告が官房長官・経産大臣の発言のみに依拠し原告の取材源への裏付け取材を怠った点で真実相当性も否定した。記述2(三菱商事の燃料転換計画を一切報じないとの摘示)、記述3(日鉄報道が誤報との摘示)についても同様に違法性阻却事由を否定。記述4〜6及び見出しについても、会長の編集介入や恫喝営業等の前提事実の真実性・真実相当性がいずれも認められないとした。損害額は、被告の雑誌が約6万部発行され一定の信用性を有する一方、原告の社会的評価は確立されており具体的業務支障も認められないことから200万円(弁護士費用20万円を加え合計220万円)と認定した。記事削除請求及び謝罪広告請求はいずれも棄却した。