AI概要
【事案の概要】 原告ら(ダイキン工業株式会社及びダイキン・アプライド・アメリカズ・インコーポレィティッド)は、発明の名称を「熱搬送システム」とする特許出願(国際出願)について拒絶査定を受け、拒絶査定不服審判を請求したが、特許庁は審判の請求は成り立たないとする審決をした。本願発明は、冷媒としてHFC-32(R32)を封入した冷媒回路と、熱搬送媒体として二酸化炭素を封入した媒体回路とを備え、複数の室内空気熱交換器を有する熱搬送システムに関するものである。原告らは、本件審決には引用発明の認定の誤り、周知技術の認定の誤り及び進歩性の判断の誤りがあると主張して、審決の取消しを求めた。 【争点】 ①引用発明(二元冷凍サイクル装置)の認定及び一致点・相違点の認定に誤りがあるか(取消事由1)、②1次側冷媒にR32、2次側冷媒に二酸化炭素を用いることが周知技術であるとの認定に誤りがあるか(取消事由2)、③相違点1(冷媒をプロパンからR32に変更する点)及び相違点2(室内空気熱交換器を複数とする点)についての進歩性の判断に誤りがあるか(取消事由3)。 【判旨】 請求棄却。取消事由1について、裁判所は、本願発明の特許請求の範囲の記載上、本願発明がビル用マルチエアコンに限定されるものではなく、媒体昇圧機の具体的構造も特定されていないから、引用発明の認定に誤りはないと判断した。取消事由2について、引用文献2及び11には、1次側冷媒としてR32と2次側冷媒として二酸化炭素の組み合わせが現実に記載されており、冷凍・給湯・空調はいずれもヒートポンプを用いるもので原理的に同じであるから、周知事項1の認定に誤りはないとした。取消事由3について、引用発明においてプロパンをR32に代替することは、両者がエアコン用次世代冷媒候補として並列的に挙げられ熱物性値も類似していることから、当業者の通常の創作能力の発揮にすぎず設計事項であり、複数の室内空気熱交換器を設けることも周知事項であって、いずれの相違点についても容易想到性が認められるとした。阻害要因についても、強燃性のプロパンを微燃性のR32に置き換えることはビル用マルチの要請にむしろ沿う面があるとして否定し、本件審決に違法はないと結論づけた。