AI概要
【事案の概要】 被告人は、大学病院の臨床麻酔部副部長(後に部長・教授)であった者である。 第1の事実として、被告人は、医薬品「c」の製造販売会社であるd社のMRから、臨床麻酔部においてcを積極的に使用して受注増加に協力してほしい旨の請託を受け、その対価として、d社から大学名義の口座に200万円を振り込ませて大学に利益を得させた(第三者供賄)。 第2の事実として、被告人は准教授Cと共謀の上、cの使用量を増大させる過程で、実際には患者に投与していないc150mgを投与したように麻酔記録を改ざんさせ、14回にわたり虚偽の診療報酬明細書を提出させて、投与していない薬剤料約81万円を含む合計約8539万円の診療報酬を支払わせた(詐欺)。 第3の事実として、被告人は講師Eと共謀の上、医療機器販売会社n社から、機器納入に関する便宜供与の請託を受け、その報酬として被告人が代表理事を務める一般社団法人の口座に200万円を振り込ませた(第三者供賄)。 【争点】 ①d社に係る第三者供賄罪の成否(請託の有無、寄附と職務行為の対価性、故意の有無)、②診療報酬請求に係る詐欺罪の故意の有無(被告人が、投与を予定しない術前溶解の存在や、それが診療報酬請求されることを認識していたか)。 【判旨(量刑)】 裁判所は、第三者供賄罪について、被告人とMRの間でcの処方増加と寄附が密接に関連付けられていた客観的状況やMRの信用できる供述から、対価性・請託・故意をいずれも認定した。詐欺罪について、被告人が寄附金獲得のため患者の状態や医師の技量と無関係にcの使用量増大を推進した結果、投与を予定しない術前溶解という「歪み」が構造的に生じ、被告人もその歪みを認識しながら放置していたと認定し、詐欺の故意を肯定した。 量刑については、職務の公正さへの信頼を害した程度は大きく刑事責任は軽視できないが、前科がないこと、詐欺の被害弁償金を預託していること、200万円を贖罪寄附していること等を考慮し、求刑懲役4年に対し、懲役2年6月・執行猶予4年、一般社団法人から200万円の追徴を言い渡した。