AI概要
【事案の概要】 本件は、大阪府藤井寺市立中学校の校長であった被告人による加重収賄及び詐欺の事案である。 被告人は、平成31年4月から令和4年3月まで同中学校の校長として校務をつかさどり、所属職員を監督する職務に従事していた。また、令和2年4月30日から同年7月30日までの間、藤井寺市立学校教科用図書選定委員会の委員を兼務し、同市立小中学校で使用する教科用図書について調査審議し、意見を答申する職務にも従事していた。 加重収賄の事実(第1)について、被告人は、令和2年7月30日に同市教育委員会が行った教科用図書の採択に関し、同年4月から6月にかけて、教科書会社であるB株式会社の従業員Cに対し、秘密事項とされていた調査員の氏名や調査員らが作成した資料の内容を教示するなどの職務上不正な行為を行った。その謝礼等の趣旨で、同年7月3日から11日までの間、3回にわたり、同社の常務取締役らから現金3万円の供与を受けるとともに、合計2万3840円相当の飲食接待及び1万503円相当のゴルフプレー料金等の接待を受け、賄賂を収受した。 詐欺の事実(第2)について、被告人は、修学旅行の下見旅行に係る旅費を詐取しようと企て、令和2年8月から令和3年11月までの間、4回にわたり、実際には教職員らの自家用車で移動したにもかかわらず、公共交通機関を利用したかのように装い、事務員に虚偽の内容を入力させて旅費を請求し、鉄道賃として合計44万4880円を振込入金させて詐取した。 【判旨(量刑)】 被告人を懲役1年6月に処し、3年間執行を猶予した。また、6万4343円の追徴を命じた(求刑:懲役1年6月、同旨の追徴)。 加重収賄について、教科書採択手続の公正性や社会一般の信頼を大きく害しており、強い非難が妥当するとした。起訴された収受額は比較的低額にとどまるものの、教科書会社との長年の癒着がもたらしたものであり、刑事責任は相応に重いと判断した。詐欺についても、旅費請求を監督すべき校長の立場にありながら44万円超の公金を詐取した点で軽視できないとした。 他方、被告人に前科がないこと、収受した賄賂相当額を贖罪寄付していること、詐取した旅費相当額の返金が見込まれること、被告人が罪を認めていること等を考慮し、執行猶予付きの懲役刑が相当と判断した。