商標権侵害差止等請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 控訴人(X)は、インターネット上の電子掲示板「2ちゃんねる」を開設・運営していた者であり、「2ちゃんねる」及び「2ch.net」の商標権者である。被控訴人(レースクイーンインク)は、フィリピン共和国法に基づき設立された外国法人であり、少なくとも平成26年2月19日から平成29年9月30日まで(本件関与期間)、本件電子掲示板の運営に関与していた。控訴人は、被控訴人が「2ちゃんねる」及び「2ch.net」の標章を使用する行為が商標権侵害及び不正競争防止法2条1項1号・2号・19号の不正競争行為に該当すると主張し、標章及びドメイン名の使用差止め並びに損害賠償を求めた。原審は商標法に基づく標章差止請求のみ認容し、損害賠償請求を棄却したため、控訴人が控訴し、被控訴人が附帯控訴した。 【争点】 (1) 被控訴人は被告標章について先使用権を有するか、(2) 被控訴人による標章使用が不競法2条1項2号の不正競争行為に該当するか、(3) 差止めの必要性、(4) 損害額。 【判旨】 控訴認容(一部)・附帯控訴認容。知財高裁は、まず先使用権について、「2ちゃんねる」の標章が周知性を獲得した平成18年時点における役務提供主体は控訴人であったと認定した。NTテクノロジー社はサーバ提供者にすぎず、PINKちゃんねるの開設や2ちゃんねるビューアの販売運営も本件掲示板本体の運営を基礎付けるものではないとして、被控訴人の先使用権を否定した。次に、本件関与期間における被控訴人の標章使用は、控訴人に無断でサーバへのアクセスを遮断し、著名な控訴人の商品等表示が使用された掲示板の運営から控訴人を排除して自ら運営者となったものであり、不競法2条1項2号の不正競争行為に該当すると判断した。他方、平成29年10月の名称変更以降は被控訴人による標章及びドメイン名の使用が認められず、差止請求は棄却した。損害額については、掲示板の広告収入が月額15万米ドル程度であったこと等を考慮し、月額500万円を下らないと認定し、本件関与期間の43か月12日分として2億1700万円の損害賠償を認容した。