組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反,銃砲刀剣類所持等取締法違反,現住建造物等放火,非現住建造物等放火,傷害
判決データ
AI概要
【事案の概要】 特定危険指定暴力団五代目甲會(工藤會)の理事長であり、最大二次団体・丙組の組長である被告人が、甲會の総裁X1及び会長X2の意思決定の下、組織的な犯罪行為に関与したとして起訴された事案である。具体的には、①X1らの地位を軽んじたとされる元警察官に対するけん銃による銃撃(組織的殺人未遂・けん銃加重所持)、②暴力団追放運動に賛同する飲食店ビル2棟への放火(現住建造物等放火・非現住建造物等放火)、③標章を掲示したラウンジ経営者らに対する刃物による殺傷行為(組織的殺人未遂2件・傷害1件)、④X1の施術担当看護師に対する刃物による襲撃(組織的殺人未遂)、⑤X1らとの交際に応じなかった人物の息子である歯科医師に対する刃物による襲撃(組織的殺人未遂)の計7件の犯行である。いずれも丙組組員らが綿密な計画の下、任務分担をして実行された。 【争点】 主要な争点は、被告人と共犯者らとの間に共謀が認められるか、被告人の意思決定・指揮命令に基づく組織犯罪性が認められるか、及び各実行犯の殺意の有無である。被告人は全面的に関与を否認した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、共犯者らの供述について、犯行に用いた車両や凶器等の処分先への案内により物品が発見された事実から高い信用性を認めた。そして、①被害者らがいずれもX1・X2又は被告人と個別のつながりを有しており、組員らが独自に加害対象に据えることはためらうはずの相手であったこと、②各犯行の連続性と警察との緊張関係の高まりの中で組織上位者の意向なく組員が独自に凶行を繰り返すとは想定し難いこと、③X1・X2から被告人を介さずに組員に指示を伝達することは組織運営上不合理であることなどから、被告人がX1・X2の加害指示を受けて組員に伝達・具体化した事実を推認した。殺意についても、各実行犯の加害態様の危険性から未必の殺意を認定し、共謀者全員に殺意が及ぶと判断した。 量刑においては、指定暴力団による組織的殺人未遂4件・けん銃発射・放火・傷害という反社会性・攻撃性・危険性が著しく高度な事案であり、被害者がいずれも一般市民であること、被告人が組員らの実働を生み出す統率者として重要な関与をしたことなどから、求刑どおり無期懲役を言い渡した。