AI概要
【事案の概要】 被告人は、令和3年11月17日午後0時12分頃、大阪府大阪狭山市内の道路左側端に普通乗用自動車を停止させ、エンジンをかけたまま運転席から降車した。その際、サイドブレーキ等の操作を確実にせず適切な停止措置を講じなかったため、車両が低速で動き出した。被告人は車内に戻りブレーキペダルを踏もうとしたが、誤ってアクセルペダルを踏み込み、時速約28キロメートルで車両を暴走させてスーパーマーケット敷地内に進入させた。敷地内を歩行中のA(当時87歳)に衝突・轢過し、さらに玩具自動販売機をB(当時77歳)に衝突させて転倒したBを轢過した上、店舗内に突入して停止した。その後も狼狽して車両を時速約17キロメートルで後退させ、転倒中のAを再び轢過し、後方に立っていた被告人の妻C(当時90歳)にも衝突させた。Aは出血性ショックにより死亡し、Bは左肺全摘等の重傷を負い、Cは回復見込みのない遷延性意識障害に陥った。 【判旨(量刑)】 裁判所は、Aの生命が失われたことに加え、一命を取りとめたBとCも医療措置や介護がなければ生存すら困難な寝たきり状態に陥り回復も見込めないという結果は重大であると指摘した。被告人は、エンジンをかけたまま降車する際に確実な停止措置を講じず車両の誤発進を招き、車内に戻ってからも致命的な運転操作の誤りを犯して暴走させたものであり、各被害者側に死傷の危険を高めた事情もないことから、被告人がかなりの高齢で機敏な判断や動作が容易でなかったことを考慮しても過失の程度は相当大きいとした。本件は1名の死者を含む複数の被害者を出した過失運転致死傷の事案の中でも重い部類に属するとした上で、古い交通人身事故による罰金前科があるほかは犯罪等と縁遠い生活を送ってきたこと、被告人の娘が他の被害者への保険による賠償に誠実に対応する意向を示していること、被告人自身が罪を認め反省の意を示していることなどの酌むべき事情を十分考慮しても、実刑はやむを得ないと判断し、求刑禁錮5年に対し禁錮3年を言い渡した。