AI概要
【事案の概要】 原告(株式会社アキュラホーム)は、戸建て住宅の建築業を営む会社であり、業務基幹システム及び実行予算算出システム(アキュラシステム)を開発・運用していた。原告の元従業員である被告A(情報システム課課長)は、在職中に、原告の業務基幹システム刷新のための検討資料(本件検討資料)を、既に退職して被告会社(株式会社アイ工務店)に入社していた被告Bにメールで送信した。また、被告Aは退職直前に、アキュラシステムのプログラム及び関連ファイル(本件AQS関連ファイル)を社外のストレージサーバにアップロードした。原告は、これらの行為が不正競争防止法上の不正競争行為に当たるとして、被告ら3名に対し、営業秘密の使用等の差止め、情報の廃棄及び損害賠償(1357万5200円)を請求した。 【争点】 ①本件検討資料及び本件AQS関連ファイルが営業秘密に当たるか(秘密管理性・有用性・非公知性)、②被告らによる不正競争行為の成否、③不法行為の成否、④損害額、⑤差止めの必要性、⑥消滅時効の成否。 【判旨】 裁判所は、本件検討資料については営業秘密該当性を認めた。同資料はアクセス制限された特定フォルダに保管され、約30名のみがアクセス可能であったこと、原告が機密情報の持出しを禁じる誓約書を提出させていたこと、資料の内容から秘密であることが理解できるものであったことから、秘密表示がなくても秘密管理性を肯定した。有用性・非公知性も認め、被告Aの送信行為は不競法2条1項7号、被告Bの取得行為は同項8号の不正競争行為に当たると判断した。 他方、本件AQS関連ファイルについては、全従業員がアクセス可能なフォルダに保管され、秘密である旨の表示や周知もなかったことから、秘密管理性を否定し、営業秘密に当たらないとした。不法行為の成立も否定した。 損害については、本件検討資料に係る実施料相当額100万円、メール保存費用44万2750円(6か月延長分のみ)、弁護士費用15万円の合計159万2750円を認容し、被告らの連帯支払を命じた。差止め及び情報削除については本件検討資料に関してのみ認め、消滅時効の主張は排斥した。