損害賠償請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、「茶枝葉の移送方法並びにその移送装置並びにこれを具えた茶刈機」に関する特許(特許第4349999号)の特許権者である控訴人(カワサキ機工株式会社)が、被控訴人(落合刃物工業株式会社)による乗用型摘採機(被告製品1:OHC-5VB型、被告製品2:OHC-5DVB型)の製造販売が本件特許権の侵害に当たると主張し、特許権侵害の不法行為による損害賠償請求権等に基づき、合計2億3000万円及び遅延損害金の支払を求めた事案の控訴審である。原審(東京地方裁判所)は、被告各製品が本件各発明の技術的範囲に属しないとして控訴人の請求を棄却したため、控訴人が控訴した。 【争点】 主な争点は、①被告各製品が本件各発明(請求項7及び13)の構成要件を充足するか(特に構成要件Aの「圧力風の作用のみによって」の充足性)、②均等侵害の成否(当審追加主張)、③無効の抗弁の成否、④訂正の再抗弁の成否であった。控訴人は、被告各製品の回転ブラシは茶枝葉の移送にとって必要不可欠でも実質的に寄与してもおらず、「圧力風の作用のみによって」の構成を備えると主張した。 【判旨】 控訴棄却。知的財産高等裁判所は、以下のとおり判断した。 まず、構成要件充足性について、「圧力風の作用のみ」とは、文理上、圧力風の作用だけが関与し圧力風以外の作用が一切関与していないことを意味すると解するのが自然であり、控訴人主張の「必要不可欠ないし実質的に寄与している作用でなければ充足する」との解釈は、特許請求の範囲及び明細書の記載に基づかないとして排斥した。そして、被告各製品の動画(甲29の1等)からは、刈り取られた茶枝葉のうち回転ブラシに接触して移送ダクト内に送り込まれているものが確認でき、回転ブラシの回転作用が茶枝葉の移送に寄与していると認められるとした。 次に、均等侵害について、「圧力風の作用のみ」によって茶枝葉を移送する構成が本件発明7の本質的部分であるところ、被告各製品は圧力風以外の回転ブラシの回転作用が加わることで移送が実現されているから、本質的部分を備えておらず、均等論の第1要件を充足しないと判断した。以上により、被告各製品は本件各発明の技術的範囲に属しないとして、控訴人の請求を棄却した原判決は相当であると結論づけた。