著作権侵害による損害賠償、損害賠償反訴請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 控訴人(設計士)は、被控訴人(株式会社ディアキッズ)が一審被告キャピタランドの管理運営する商業施設に親子カフェの店舗を出店するに際し、同店舗の内装工事に係る設計図面(原告設計図)を作成した。控訴人は、被控訴人が控訴人に無断で一審被告キャピタランドに対し原告設計図の利用を許諾し、同社が原告設計図に基づく内装工事を発注して店舗を完成させたこと、さらに開店後は被控訴人らが店舗を公衆に提示し、ウェブサイトに画像等を掲載して公衆送信したことにより、控訴人の原告設計図ないし原告内装に係る著作権及び著作者人格権を侵害したと主張して、不法行為による損害賠償請求権ないし不当利得返還請求権に基づき、被控訴人に対し合計450万円及び遅延損害金の支払を求めた。原審(横浜地裁)が控訴人の請求を棄却したため、控訴人が150万円の範囲で控訴した。 【争点】 (1) 原告設計図ないし原告内装の著作物性が認められるか。 (2) 被控訴人に対する著作権の譲渡ないし利用許諾があったといえるか。 【判旨】 控訴棄却。知財高裁は、以下の理由から原審の判断を維持した。 第一に、著作物性について、控訴人は設計図が工事関係者間の共通言語であり設計図面以外に詳細な情報伝達手段がないことを理由に創作性を主張したが、裁判所は、設計図が多くの関係者に共通して利用されるものであることは、むしろ作図上の表現方法や内装の具体的表現が実用的・機能的でありふれたものにならざるを得ないことを示すものであるとし、原告設計図の具体的表現内容も実用的・機能的でありふれたものであると判断した。また、控訴人は本件店舗が被控訴人の初の旗艦店であり既存店のデザイン制約を受けないと主張したが、裁判所は、問題は系列店舗に統一感を持たせる観点からの制約であり、各店舗の内装の先後関係ではないとして退けた。 第二に、仮に著作物性が認められるとしても、建物内装のための設計図は通常それ自体が鑑賞の対象となるものではなく、特段の合意がない限り設計報酬とは別に著作権使用料請求権が設計者に留保されるとは認め難いとした。控訴人は、設計契約において被控訴人が原告設計図に基づき内装工事を施工し親子カフェを営業することを当然に了承しており、著作権ないし著作者人格権を行使しないことが契約締結の前提であったと判示した。なお、裁判所は、設計料が別途とされながら控訴人が報酬を得られないことに同情を示しつつも、報酬請求権が時効消滅した以上やむを得ないと付言した。