AI概要
【事案の概要】 原告(クリスチャン・ルブタン)は、女性用ハイヒール靴の靴底部分に付した赤色(PANTONE 18-1663TP)のみからなる色彩商標(いわゆる「レッドソール」)について、指定商品を「女性用ハイヒール靴」として商標登録出願をしたが、拒絶査定を受けたため、拒絶査定不服審判を請求した。特許庁は、本願商標が商標法3条1項3号(商品の特徴を普通に用いられる方法で表示する標章)に該当し、かつ同条2項(使用による識別力の獲得)の要件も具備しないとして、審判請求不成立の審決をした。原告はこの審決の取消しを求めて知的財産高等裁判所に出訴した。 【争点】 本願商標が商標法3条2項に該当するか否か。具体的には、①同条2項の適用において公益(独占適応性)を考慮すべきか、②本願商標が使用された結果、需要者が原告の業務に係る商品であると認識できるに至ったか、③原告が実施したアンケート調査の結果から本願商標の認知度をどのように評価すべきかが争われた。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、単一の色彩のみからなる商標については、自由選択の必要性等に基づく公益性の要請が特に強いことから、商標法3条2項に該当するためには、公益性の例外として認められる程度の高度の自他商品識別力を獲得していること(独占適応性)が必要であると判示した。その上で、①本願商標の色彩(赤色)及び付する位置(靴底)はいずれもありふれたものであり構成に特異性がないこと、②原告商品の中敷きに「Christian Louboutin」のロゴが付されており、文字表示からも出所識別がなされ得ること、③原告以外の複数の事業者が赤色の靴底を使用した女性用ハイヒール靴を販売しており、原告が当該商品形態を独占的に使用してきたとは認められないこと、④原告実施のアンケート調査の結果でもファッションに関心の高い主要都市在住の女性に限定しても認知度は約51.6%にとどまり、全国の需要者層ではさらに下回ると推認されること等を総合考慮し、本願商標は公益性の例外として認められる程度の高度の自他商品識別力を獲得しているとは認められず、商標法3条2項に該当しないと結論づけた。