強盗殺人、死体遺棄、建造物侵入、窃盗未遂
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告人は、大阪市内の弁当店が入る建物の2階に単身で居住していた者である。 第1事件として、令和3年12月5日午前3時15分頃、金品窃取の目的で、同建物1階の弁当店に勝手口から侵入し、レジスターの引き出しを開けて物色したが、金品を発見できず未遂に終わった(建造物侵入・窃盗未遂)。 第2事件として、令和4年4月3日、所持金が100円未満と金に困っていた被告人は、同弁当店で働くベトナム人女性の被害者(当時31歳)に対し、「マスターに言われているから貴重品を持って2階に上がってくれ」などと嘘を言って自室に誘い入れた。被告人は被害者の背後に回り込み、所持金を全部貸してほしいと要求したところ、被害者が大声を上げて抵抗したため、殺意をもって背後から首に右腕を回し左手を十字に重ねて2〜3分間絞め続け、窒息により殺害した上、現金約2万6000円を奪った(強盗殺人)。さらに、被害者の死体の下半身の着衣を脱がせて布団圧縮袋で覆い、寝室の壁とテレビ台の間に押し込んで冷風扇等を載せて隠匿した(死体遺棄)。 【争点】 弁護人は、被害者を自室に誘い入れた目的は金品を借りるためであり、首を絞めたのも気絶させるためで殺意はなかったと主張した。 裁判所は、(1)被告人が面識のない外国人女性に嘘をついて貴重品を持たせて自室に誘い入れていること、(2)防犯カメラ映像で被害者をせかす様子が映っていること、(3)誘い入れてからわずか2分強で犯行に及んでいること、(4)捜査段階で被告人自身が「騒いだ場合に押さえ込みやすいと思って後ろに回り込んだ」と供述していることから、当初から金品強取の目的があったと認定した。殺意についても、甲状軟骨が扁平化するほどの強い力で2〜3分間絞め続け、途中で腕が外れかかっても絞め続けた犯行態様から、殺意を認定した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、金欲しさのあまりの身勝手な犯行であり、相当強い力で被害者の首を背後から2〜3分間絞め続けた犯行態様は冷酷であると指摘した。全く落ち度のない被害者が理不尽に命を奪われた結果は極めて重大であり、遺族の悲しみも計り知れないとした。死体遺棄についても死者の尊厳を全く顧みない非道徳的な犯行と評価した。酌量減軽すべき事情は見当たらず、公判を通じて反省も見受けられないことを踏まえ、同種事案の量刑傾向も考慮した上で、求刑どおり無期懲役を言い渡した。