発信者情報開示請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 原告は、ミセス・グローバル・アース日本大会に出場した経歴を持つ者である。氏名不詳者(本件発信者)が、インスタグラム上において、原告がインスタグラムの自己のアカウントに投稿した動画をスクリーンショットした画像とともに、「これ何回目でしょうか?度が過ぎているのはアナタ 本当に恐ろしい」との文章を投稿した。原告は、本件投稿により著作権(複製権及び公衆送信権)及び名誉感情が侵害されたと主張して、プロバイダ責任制限法5条2項に基づき、経由プロバイダであるKDDI株式会社に対し、発信者情報の開示を求めた。 【争点】 ①本件動画の著作物性、②原告が著作権者に該当するか、③名誉感情侵害の有無が争点となった。被告は、本件動画は第三者撮影の写真にありふれたエフェクトを施したにすぎず創作性がないこと、原告が著作権者であることの客観的証拠がないこと、投稿内容の「アナタ」が原告を指すとは特定できず侮辱にも当たらないことを主張した。 【判旨】 裁判所は、争点①②について、本件動画は原告がカメラマンに依頼して撮影してもらった写真の角度調整や肌の色のトーンアップを行い、筋痛性脳脊髄炎から回復しグランプリを獲得した人生を振り返る「Chapter2 of life」との字幕や残像エフェクトを用い、想いに沿う曲を背景に添えるなど、視聴覚的効果が生ずる方法を工夫して制作されたものであると認定した。そして、原告のリスタートという想いを的確に表現するために視聴覚的効果を工夫した点に創作性を認め、映画の著作物としての著作物性を肯定した。スクリーンショットである本件画像についても視覚的効果に係る工夫を踏まえ著作物性を認めた。著作権者については、原告が制作経緯等を具体的に陳述していること等から、原告に著作権が帰属すると判断した。また、被告が意見照会の結果として契約者以外の者が投稿したとの回答があったと主張した点についても、裏付け証拠がないとして排斥した。以上により、争点③(名誉感情侵害)について判断するまでもなく、著作権侵害を理由として発信者情報の開示請求を認容した。