損害賠償等請求控訴事件,同附帯控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和4ネ10090
- 事件名
- 損害賠償等請求控訴事件,同附帯控訴事件
- 裁判所
- 知的財産高等裁判所
- 裁判年月日
- 2023年2月7日
- 裁判官
- 本多知成、浅井憲、中島朋宏
- 原審裁判所
- 東京地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 控訴人X1は映画の脚本を制作し監督を務めた者、控訴人X2はX1とともに脚本を制作した者である。被控訴人新潮社は、週刊新潮2018年3月8日号において、昭和天皇をモデルとしたピンク映画(本件映画)の公開延期に関する記事を掲載し、その中で本件脚本の一部を無断で引用した。被控訴人オーピー映画は控訴人X1から本件映画の著作権譲渡を受けた者、被控訴人大蔵映画はさらにオーピー映画から著作権譲渡を受けた者である。控訴人らは、①記事による名誉毀損、②脚本の無断引用による著作者人格権(公表権)侵害、③謝罪広告の掲載、④被控訴人大蔵映画との共同不法行為、⑤映画公開中止による期待権侵害、⑥映像データ廃棄による人格権侵害、⑦著作権譲渡契約の解除に基づく著作権確認を求めた。原審は②の公表権侵害のみ各33万円の限度で認容し、その余を棄却したため、双方が控訴・附帯控訴した。 【争点】 (1) 記事の各記載(記載1〜4)が控訴人らの名誉を毀損するか、違法性阻却事由があるか (2) 脚本の無断引用が著作者人格権(公表権)を侵害するか、著作権法41条の時事報道の抗弁が成立するか (3) 映画公開に対する監督の期待が法的保護に値する権利・利益といえるか (4) 映像データの廃棄が監督の人格権を侵害するか (5) 著作権譲渡契約の債務不履行解除が認められるか 【判旨】 控訴棄却・附帯控訴棄却(原審維持)。名誉毀損について、記載1は昭和天皇をモデルとしたピンク映画の制作が社会的に許されないおそれがある旨の意見・論評であり、前提事実の重要部分は真実であって、人身攻撃に及ぶなど論評の域を逸脱したものとはいえないとした。記載2〜4についても、業界関係者やF社長からの伝聞をそのように断って伝えるものにすぎず、社会的評価を低下させるものではないとした。公表権侵害について、本件試写会は映倫審査と社内試写を兼ねた少人数のもので、脚本が公衆に提示されたとは評価できず、公表権侵害を認めた。被控訴人新潮社の著作権法41条の抗弁については、同条は著作権の制限規定であり著作者人格権には影響しない(同法50条)として排斥した。映画公開への期待権については、公開の決定権は著作権者(上映権)が専有するものであり、著作権を譲渡した監督の期待は事実上のものにとどまり法的保護の対象とならないとした。映像データ廃棄についても、著作権譲渡済みである以上、監督に著作権に優先する人格権等は認められないとした。