特許権侵害差止請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、発明の名称を「ガススクラバー流体のための浄化設備」とする特許権(特許第5784719号)を有するスウェーデン法人である原告が、排ガス再循環(EGR)ユニット用水処理システムを製造販売する被告(三菱化工機株式会社)に対し、被告各製品が本件特許の技術的範囲に属するとして、特許法100条に基づく差止め・廃棄及び民法709条に基づく損害賠償1000万円の支払を求めた事案である。本件特許は、船舶エンジンの排出ガスを洗浄するスクラバー流体ループから汚染されたスクラバー流体の一部を抜き取り、ディスクスタック遠心分離機で汚染物質相と浄化されたスクラバー流体に分離し、浄化されたスクラバー流体を環境に放出する浄化設備に関するものである。 【争点】 主な争点は、①被告各製品が本件発明の技術的範囲に属するか(構成要件B及びFの充足性)、②間接侵害の成否、③損害額、④差止めの必要性である。特に、構成要件F「浄化されたスクラバー流体を第一の分離機出口から環境に放出するための手段」及び構成要件B「スクラバー流体ループから汚染されたスクラバー流体の一部を処分のために取り除くための手段」の解釈が中心的争点となった。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、まず被告製品1(主位的主張)及び被告製品2について、構成要件Fの「環境に放出するための手段」とは、分離機により浄化されたスクラバー流体が、分離機とは別に設けられた浄化設備により浄化処理されることなく船外に放出されるものをいうと解釈した。その根拠として、本件明細書の記載及び特許異議申立事件における原告の主張(分離機の動作により浄化された流体は規制を満たし環境に放出できる旨の主張)を挙げた。被告製品2では分離機通過後にフィルタによる更なる浄化処理がなされていたため、構成要件Fを充足しないと判断した。次に、被告製品1(予備的主張)及び被告製品3について、構成要件Bの「処分のためにスクラバー流体ループから取り除くための手段」とは、浄化されたスクラバー流体を全て環境に放出し、再びループに戻すことはないものをいうと解釈した。被告製品3では三方弁によりバッファタンクに還流する構成を有していたため、構成要件Bを充足しないと判断した。間接侵害についても、被告各製品を含むシステム全体が構成要件F又はBを充足しないとして否定した。