不当利得返還請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 控訴人(有限会社コロンブスの卵たち)は、発明の名称を「片手支持可能な表示装置」とする特許(特許第3382936号)の特許権者であり、被控訴人(株式会社)が製造・販売する製品が本件特許権の技術的範囲に属するとして、不当利得返還請求権に基づき、実施料相当額の一部である合計2110万円及び遅延損害金の支払を求めた。原審(東京地方裁判所)は、本件各発明は進歩性又は新規性を欠き、特許無効審判において無効とされるべきものであるとして、控訴人の請求をいずれも棄却した。控訴人はこれを不服として控訴した。 【争点】 (1) 本件発明の新規性・進歩性の有無(乙1文献記載の発明との対比、周知技術の認定の当否、容易想到性) (2) 訂正の再抗弁の成否(第4次訂正の訂正要件適合性、第4次訂正により無効理由が解消するか) (3) 第4次訂正に係る訂正の再抗弁が時機に後れた攻撃防御方法に当たるか 【判旨】 控訴棄却。知的財産高等裁判所は、原審の判断を維持し、以下のとおり判示した。 周知技術の認定について、本件発明1の「中間見開き固定手段」は具体的構成が何ら特定されておらず、乙4文献及び乙26文献から共通の技術的思想を抽出して周知技術を認定するに当たり、各文献の具体的構成を含める必要はないとして、原判決の周知技術の認定に誤りはないとした。動機付けについても、折り畳み式の小型電子機器がキーボードの有無によって異なる技術分野に属するとは認め難く、乙1発明のフリーストップ型ロッキング機構が有する技術的課題を解決するために周知技術を適用する動機付けがあるとした。阻害要因についても、控訴人の主張は各文献のチルト機構の具体的構成を前提とするものであり、本件発明の抽象的な構成とは前提を異にするとして排斥した。 第4次訂正に係る訂正の再抗弁については、時機に後れた攻撃防御方法に当たるものの、被控訴人から反論がされている限度では訴訟の完結を遅延させるとまではいえないとして判断を加えた上で、訂正事項1-3等は発明特定事項を単に言い換えたものにすぎず訂正要件に適合しないとし、仮に訂正要件を満たすとしても、固定角度の調整は設計的事項であり、第4次訂正発明1ないし5はいずれも進歩性を欠くと判断した。請求項6については、ストッパとチルト機構の併用は明細書に記載も示唆もなく、新規事項の追加に当たるとした。