特許権侵害損害賠償等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、照明装置に関する特許権(特許第4457100号)を有する原告(株式会社アイテックシステム)が、被告(レボックス株式会社)による照明製品(被告製品1及び2)の製造・譲渡等が原告の特許権を侵害すると主張して、特許法100条1項及び2項に基づく差止め及び廃棄、並びに民法709条に基づく損害賠償金1億円及び遅延損害金の支払を求めた事案である。本件特許は、ラインセンサカメラ撮像位置照明用の照明装置に関し、複数のLEDと集光レンズを備え、拡散レンズを複数のレンズ部から形成して光量のむらを低減する構成を特徴とするものである。被告は、構成要件の非充足及び7つの無効理由等を主張して争った。 【争点】 主な争点は、(1)各被告製品が本件各発明の技術的範囲に属するか(構成要件充足性)、(2)本件特許が無効にされるべきか(新規性・進歩性欠如、明確性要件違反等7つの無効理由)、(3)先使用権の成否、(4)損害額、(5)消滅時効の成否である。特に争点(1)では、各被告製品に使用されている拡散フィルム(LSD)が本件各発明の「複数のレンズ部」「各レンズ部」に該当するかが中心的に争われた。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、争点(1)の構成要件充足性について判断し、その余の争点については判断しなかった。裁判所は、本件各発明の「複数のレンズ部」「各レンズ部」について、特許請求の範囲及び明細書の記載から、拡散レンズにおけるそれぞれのレンズ部の位置及び形状が特定され、各レンズ部についてLEDの並設方向への曲率半径及びこれと直交する方向への曲率半径を把握できるものであると解釈した。その上で、各被告製品に使用されているLSD(Light Shaping Diffusers)は、フィルム表面に数十μm程度の微細な凹凸がシームレスかつランダムに配置されたものであり、個々の凹凸の大きさや形状を規定して作成されたものではなく、統計的に評価してフィルム全体として所定の拡散性能を有するよう設計されたものであるから、本件各発明における「レンズ部」の範囲を特定することができないと判断した。したがって、各被告製品は構成要件1D、1E、1F、3Aを充足せず、本件各発明の技術的範囲に属しないとして、原告の各請求をいずれも棄却した。