AI概要
【事案の概要】 本件は、「ページング方法及び装置」に関する特許権(特許第3287413号)を有していた原告(米国デラウェア州法人)が、被告(株式会社NTTドコモ)に対し、被告が「Xi(クロッシィ)」のサービス名で提供するLTE方式の無線通信サービスが本件特許の技術的範囲に属し、実施料相当損害金を不当に利得しているとして、不当利得返還請求権に基づき2225億5160万2500円の一部である1億円及び遅延利息の支払を求めた事案である。本件特許は平成6年を優先日とし、双方向ページングシステムにおけるページャと中央局間の伝送方法に関するものであった。 【争点】 主な争点は、(1)被告サービスが本件各発明の「双方向ページングシステム」(構成要件A)に当たるか、(2)被告方法が各構成要件を充足するか、(3)均等論の成否、(4)権利行使制限の抗弁(新規性・進歩性の欠如等)であった。特に、本件各発明における「双方向ページングシステム」及び「ページャ」の意義が中心的に争われた。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、本件各発明の「双方向ページングシステム」及び「ページャ」の意義について、特許請求の範囲及び明細書にはこれらを定義する記載はないものの、本件出願日当時、当業者は「ページングシステム」を移動通信システムの一つである無線呼出しシステム(ポケットベル)として理解しており、「ページャ」は無線呼出用の携帯受信機を意味すると認定した。明細書においても「双方向ページングシステム」は電話システムとは独立して動作するものとされ、「ページャ」は移動無線電話とは区別されていることから、本件各発明は短文等の呼出メッセージによる無線呼出システムにおいてページャにアックバック等の簡単な返信機能を付与したものを指すと解するのが相当とした。被告サービスのLTE通信方式は移動通信システムの第4世代に位置付けられるものであり、上記の「双方向ページングシステム」には該当しないとして、構成要件の充足を否定した。均等論についても、LTE通信方式では少ないローカル周波数の使用という本件各発明と同一の作用効果を奏しないこと、及び本件各発明が前提とする特定の通信システムとは本質的部分が異なることから、均等侵害も否定し、その余の争点について判断するまでもなく原告の請求を棄却した。