特許権侵害差止等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、「特定のユーザの体臭成分を分析する方法」に関する特許権(特許第6721893号)を有する原告(洗濯用洗剤の製造販売業者)が、被告(体臭測定・解析サービス業者)に対し、被告が体臭測定用キット及びワキガ検査キットを用いて提供しているサービスの方法が原告の特許権に係る発明の技術的範囲に属するとして、特許法100条1項に基づく差止め、同条2項に基づく衣服の廃棄、同法106条に基づく謝罪文の掲載、及び損害賠償金400万円等の支払を求めた事案である。被告の方法は、消費者にTシャツ等を送付し、24時間着用後に返送してもらい、体臭成分を官能評価等で分析して結果を報告するというサービスであった。 【争点】 主な争点は、①本件発明1(試料をパッケージに密封して提供・回収し体臭成分を分析する方法)について、先行論文(乙7論文:女性の体臭と排卵の関係に関する研究論文)に基づく進歩性欠如の有無、②本件発明2について、被告各方法が構成要件F(体臭の発生が集中している部位を特定した上で当該部位の体臭成分を分析する工程)を充足するか否かである。 【判旨】 裁判所は、原告の請求をいずれも棄却した。本件発明1については、乙7論文に記載された発明との相違点(試料をパッケージに「密封」して提供・回収する点)について、乙7論文では密封可能なフリーザーバッグにTシャツを入れて提供し、着用後も密封して冷凍保管していたことが記載されていることから、密封して提供・回収することは乙7論文に記載されているに等しいか少なくとも当業者が容易に想到できたとして、進歩性を欠くと判断した。原告は両発明の技術分野・課題が異なると主張したが、裁判所は、試料に付着した臭い成分を分析するという点で同じ分野であり、阻害事由もないとして退けた。本件発明2については、構成要件Fの解釈として、あらかじめ試料について分析を行い体臭の集中部位を特定した上で当該部位について体臭成分の分析を行うことを規定していると解した上で、被告各方法はいずれもあらかじめ部位の特定のための分析を行うことなく、全件について定められた部位の官能評価を実施しているにすぎないから、構成要件Fを充足しないと判断した。