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【事案の概要】 令和3年4月14日、大学自動車部の見学会に参加していた被告人(当時19歳)は、京都市内の一般道において、乗車体験として自ら普通乗用自動車を運転した。被告人は、先輩部員の高速走行を助手席で体感して気分が高揚し、同乗者から速度を上げるよう促されたこともあって、最高速度時速40kmと指定された片側一車線の対面通行道路を、時速約94kmという指定速度の2倍以上の高速度で走行した。その結果、左方に湾曲するカーブを曲がりきれず対向車線に進出し、対向進行してきた中型貨物自動車に正面衝突した。この事故により、同乗者のJ(当時19歳)及びL(当時20歳)の2名が死亡し、対向車の運転者H(当時53歳)が頸部外傷性症候群等の傷害(加療約24日間)を、同乗者I(当時19歳)が右橈尺骨骨幹部開放骨折等の傷害(入院11日間)をそれぞれ負った。被告人は危険運転致死傷罪で起訴された。 【争点】 制御困難高速度の故意の有無が争われた。検察官は、被告人が運転操作を少しでも誤れば進路を逸脱するほどの高速度になっていると分かっていたと主張した。弁護人は、被告人にそのような認識があったとはいえないとして、過失運転致死傷罪にとどまると主張した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、制御困難高速度の故意を認定した。その根拠として、①被告人は事前に助手席で本コースを2往復しており、コース終盤に急な左カーブがあることを認識していたこと、②事故現場手前の別のカーブ(カーブ①)で時速95kmで進入した際、センターラインを大きくはみ出したことを認識していたにもかかわらず減速しなかったこと、③その後もほぼ同速度でカーブ②に進入したことを挙げた。被告人はカーブを曲がりきれると思っていたが、それは制御困難高速度の認識と矛盾しないとし、高速走行を試したいとの気持ちが勝り、あえて危険な運転を選択したと認定した。 量刑については、2名の若者の生命が失われ2名が重傷を負った結果の重大性を指摘しつつ、犯行に至る経緯として先輩部員の高速走行の体感や同乗者からの促し、当時19歳の未熟さが影響したことを一定程度考慮した。もっとも、運転は被告人自身に委ねられていたとして非難の軽減には限界があるとし、同種事案の中でやや重い部類と位置付けた。求刑懲役9年、弁護人の科刑意見は過失運転致死傷罪を前提に懲役3年執行猶予4年であったところ、懲役6年を言い渡した。