AI概要
【事案の概要】 被告人は、以前通っていた大学のサークルで同じだったA及びBに対し、2件の犯行に及んだ。第1の犯行として、令和3年4月22日、沖縄県内の大学構内において、A(当時22歳)の両腕をつかんで転倒させた上、顔面を拳で1回殴打する暴行を加えた。第2の犯行として、同年8月24日、東京都港区内の地下鉄駅構内において、B(当時22歳)の顔面や腕部等に硫酸をかけ、色素沈着やケロイド瘢痕等の後遺症を伴う全治約3か月間を要する化学熱傷等の傷害を負わせた。 被告人は、サークル活動中にAやBから馬鹿にされたりからかわれたりし、危害を加えられそうになったと記憶しており、転居して別の大学に通うようになった後も、自宅付近の不審者の話からAやBに狙われていると思い込み、不安を募らせて第1の犯行に及んだ。その後、Aとは和解できたと考えたものの、Bへの警戒感を強め、第2の犯行に至った。犯行に至る経緯には、被告人の自閉スペクトラム症の特性等の影響が認められた。 【判旨(量刑)】 東京地裁は、被告人を懲役3年6月に処した(未決勾留日数中360日を算入。求刑懲役6年)。 第2の犯行について、上りエスカレーターの降り口付近で後ろから追い抜きざまに突如顔面等に硫酸をかけるという態様は極めて危険であり、被害者Bに残った顔面等の色素沈着やケロイド瘢痕等の後遺症は重大で、Bの人生設計を大きく狂わせたと認定した。また、被告人は硫酸を濃縮・精製し、知人への聞き込みやウェブサイトの情報からBの勤務先を突き止め、長時間待ち伏せして追尾するなど周到な準備を重ねており、Bに相当なダメージを与えようという強固な意思に基づく計画的犯行であると認めた。自閉スペクトラム症の特性等が犯行に影響していることは認めつつも、自らの行為の違法性を十分に認識していたことから、これを斟酌するにも限度があるとした。 他方で、被告人が事実関係を認め、Aとは20万円で示談が成立し告訴取下げの意思が表明されたこと、Bに対しても被害弁償の一部として800万円を支払い慰謝の努力がみられること、更生支援計画が策定され親族の支援も見込まれること、前科がないことなどの事情を考慮し、主文の刑を量定した。