廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反、非現住建造物等放火、現住|建造物等放火
判決データ
- 事件番号
- 令和3わ205
- 事件名
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反、非現住建造物等放火、現住|建造物等放火
- 裁判所
- 福岡地方裁判所
- 裁判年月日
- 2023年3月3日
AI概要
【事案の概要】 被告人は、北九州市内において、令和3年2月から3月にかけて、非現住建造物等放火1件(倉庫とごみ置き場が一体となった建造物への放火、焼損面積約9平方メートル)、現住建造物等放火1件(住人ら3名が現在する木造2階建店舗兼居宅への放火、同建物は全焼し、1名が死亡、1名が顔面等にII度の熱傷を負った)、及び廃棄物不法投棄2件を行ったとして起訴された事案である。被告人は統合失調症に罹患しており、全事件について黙秘していた。弁護人は、犯人性、放火の故意、及び心神喪失をそれぞれ争った。 【争点】 主な争点は、(1)犯人性(全事件)、(2)放火の故意すなわち建造物焼損の可能性の認識・認容(放火2件)、(3)統合失調症に罹患していた被告人の責任能力の有無・程度(全事件)の3点である。犯人性については、防犯カメラ映像に映る人物の服装等(特に被告人方から押収された固有の模様を持つ帽子「本件キャップ」)と被告人との同一性が中心的に争われた。 【判旨(量刑)】 裁判所は、全争点について検察官の主張を認めた。犯人性については、被告人方から押収された帽子(タイダイ風総柄のVISIONキャップ、300個限定製造で固有の模様を持つ)が、各犯行現場付近の防犯カメラ映像に映る人物の帽子と、目視及びスーパーインポーズ解析により矛盾なく合致すること、服装の組み合わせ・背格好・歩き方の類似性、撮影時刻・地点の連続性等を総合して、各犯人が被告人であると認定した。放火の故意については、各現場の建造物の構造が日中に容易に認識可能であり、意図的な態様で放火に及んでいることから、建造物焼損の可能性を認識・認容していたと認めた。責任能力については、精神鑑定の結果を踏まえつつ、犯行態様に異常性や衝動性がなく、犯行前後の挙動も周囲の状況を適切に判断した行動であること、施設での生活も規則を守りトラブルなく過ごしていたこと等から、完全責任能力を認定した。量刑については、現住建造物等放火による死亡・熱傷という甚大な結果、短期間での放火の反復を重視しつつも、計画性や建物自体を燃やす意欲が認められないこと、統合失調症によるごみへのこだわりが影響した可能性等を考慮し、求刑懲役16年に対し、被告人を懲役13年に処した。