消費税及び地方消費税更正処分等取消請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 不動産の売買等を目的とする株式会社である原告(上告人)は、平成26年度から平成28年度までの各課税期間において、転売目的で、全部又は一部が住宅として賃貸されているマンション合計84棟を購入した。原告は、これらの購入(課税仕入れ)について、個別対応方式により「課税対応課税仕入れ」に区分し、消費税額の全額を仕入税額控除として確定申告した。これに対し、麹町税務署長は、当該課税仕入れは建物の転売(課税資産の譲渡等)のみならず住宅の貸付け(非課税取引)にも要するものであるから「共通対応課税仕入れ」に区分すべきであるとして、控除対象仕入税額は消費税額に課税売上割合を乗じた金額にとどまるとして更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を行った。原告がこれらの取消しを求めて出訴したが、第一審・控訴審とも請求を棄却したため、上告した。なお、税務当局は平成7年頃及び平成9年頃に、転売目的の住宅購入を課税対応課税仕入れとする旨の回答をしていた一方、平成17年以降は共通対応課税仕入れに区分すべきとの見解を公刊物等で示していた。 【争点】 転売目的で購入した賃貸中のマンションに係る課税仕入れが、消費税法30条2項1号の「課税対応課税仕入れ」と「共通対応課税仕入れ」のいずれに該当するか。また、過少申告加算税の賦課につき国税通則法65条4項の「正当な理由」が認められるか。 【判旨】 最高裁は上告を棄却した。まず用途区分について、消費税法は課税の明確性の確保や適正な徴税の実現との調和を図るため、税負担の累積が生じても仕入税額控除が認められない場合があることを予定しており、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等の双方に対応する課税仕入れは、事業者の事業に関する事情等を問うことなく共通対応課税仕入れに該当すると解すべきであるとした。本件各建物は購入時から住宅として賃貸されており、原告は転売までの間その賃料を収受していたのであるから、本件各課税仕入れは事業者の意図等にかかわらず共通対応課税仕入れに該当するとした。次に過少申告加算税について、税務当局は遅くとも平成17年以降、本件と同様の課税仕入れを共通対応課税仕入れに区分する見解を採っており、公刊物や裁決例・裁判例を通じて一般の納税者も知り得たことから、原告に「正当な理由」は認められないとした。