消費税更正処分等取消請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 不動産の買取再販売等を行う株式会社である被上告人(原告)は、平成25年から平成27年までの各課税期間において、転売目的で、全部又は一部が住宅として賃貸されている建物合計344物件を購入した。被上告人は、個別対応方式により、これらの課税仕入れを「課税対応課税仕入れ」に区分し、消費税額の全額を控除対象仕入税額として消費税等の確定申告をした。これに対し、日本橋税務署長は、当該課税仕入れは建物の転売(課税売上げ)のみならず住宅の貸付け(非課税売上げ)にも要するものであるから「共通対応課税仕入れ」に区分されるべきであるとして、更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をした。被上告人が上告人(国)を相手にこれらの取消しを求めた事案である。原審は、更正処分は適法としつつも、税務当局がかつて転売目的に着目して課税対応課税仕入れに区分する取扱いをしていたことなどを理由に、過少申告加算税の賦課決定処分については「正当な理由」があるとして違法と判断した。 【争点】 転売目的で住宅として賃貸中の建物を購入した場合の課税仕入れの用途区分が「課税対応課税仕入れ」か「共通対応課税仕入れ」か、及び、被上告人が課税対応課税仕入れとして申告したことにつき国税通則法65条4項の「正当な理由」が認められるか。 【判旨】 最高裁は、原判決中上告人敗訴部分(賦課決定処分取消しを認容した部分)を破棄し、被上告人の控訴を棄却した。まず、「正当な理由」とは、真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり、過少申告加算税の趣旨に照らしてもなお賦課が不当又は酷になる場合をいうと判示した。その上で、税務当局は遅くとも平成17年以降、当該課税仕入れを住宅賃貸に着目して共通対応課税仕入れに区分すべきとの見解を採っており、その見解は税務当局職員の公刊物や裁決例・裁判例を通じて一般の納税者も知り得たと認定した。他方、それ以前の部内資料や関係機関への回答は、本件と同様の課税仕入れに直接言及するものではなく、必ずしも上記見解と矛盾するとはいえないとした。また、共通対応課税仕入れとする取扱いは消費税法30条2項1号の文理等に照らして自然であり、課税対応課税仕入れに区分すべきとした裁判例等も見当たらないことから、被上告人の申告について「正当な理由」は認められないと結論づけた。裁判官全員一致の意見である。