国内・国際特許を取れなくされた職務発明における相当の対価請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、株式会社日鐵テクノリサーチ(以下「テクノリサーチ」)の元従業員であった控訴人が、在職中にした「船舶の両舷ドラフト差測定装置」に関する職務発明(特許第5827775号)について、特許を受ける権利をテクノリサーチに承継させたと主張し、テクノリサーチを吸収合併した被控訴人(日鉄テクノロジー株式会社)に対し、特許法35条3項及び5項に基づく相当の対価の一部500万円及び遅延損害金の支払を求めた事案の控訴審である。 控訴人は昭和43年に八幡製鐵に入社し、平成9年にテクノリサーチに出向、平成16年に転籍した後、平成21年に定年退職し、嘱託社員を経て平成22年に退職した。控訴人は平成20年末頃に本件発明をし、テクノリサーチに特許を受ける権利を承継させた。なお、控訴人は別途、日本製鉄及び被控訴人に対し、傾斜測定装置の使用・販売が本件特許権の侵害に当たるとして損害賠償を求める前訴を提起したが、控訴審において、被告装置は本件訂正発明の技術的範囲に属するものの、本件特許には無効理由があるとして棄却されていた。 【争点】 1. 相当対価請求権の存否(争点1):被控訴人が本件発明により「使用者等が受けるべき利益」(特許法35条5項)を得たといえるか。 2. 相当対価請求権の消滅時効の成否(争点2):被控訴人は、控訴人が平成20年11月頃に特許を受ける権利を承継させた時点を起算点として、消滅時効が完成したと主張した。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、控訴を棄却した。争点1について、被控訴人が被告装置を自ら使用している事実を認めるに足りる証拠はなく、被控訴人にボート料金の削減等の利益が生じているとも認められないとした。したがって、被控訴人が本件発明について特許法35条5項の「その発明により使用者等が受けるべき利益」を得たものとは認められず、控訴人は被控訴人に対し相当対価請求権を有しないと判断した。争点2(消滅時効)については、争点1により請求が認められない以上、判断するまでもないとして、原判決を維持した。