AI概要
【事案の概要】 本件は、高級ハンドバッグ「バーキン」及び「ケリー」を製造販売するフランス法人の原告(エルメス)が、各バッグの立体的形状について商標権を有するところ、被告(株式会社ナオインターナショナル)が販売するバッグの形状がこれらの登録商標に類似し、かつ周知著名な商品表示にも類似するとして、商標権侵害の不法行為(民法709条)及び不正競争防止法4条に基づき、損害賠償785万0140円等の支払を求めた事案である。原告商品はバーキンが1個100万円超、ケリーが1個50万円超で販売される高級品であるのに対し、被告商品はいずれも1個1万5180円で百貨店の店舗やECサイトを通じて販売され、令和元年12月から令和3年2月までの間に合計398個が販売された。 【争点】 主な争点は、①原告商標と被告商品の形状の類否、②商標的使用の有無、③過失の有無、④損害額である。被告は、角部の形状・サイズ・素材(本革と合成皮革)・ハンドルの形状等の外観上の相違点に加え、価格帯の著しい差異や購買層の違い等の取引の実情を主張して類似性を争った。また、損害額についても、価格差・競合品の存在・被告の営業努力等を理由に少なくとも95%の推定覆滅を主張した。 【判旨】 裁判所は、被告商品の形状がバーキン商標及びケリー商標の特徴を全て備えていることから外観上の類似性を認め、被告が指摘する相違点はいずれもバッグの細部に関するものにとどまり、慎重に比較して初めて認識し得る程度の相違に過ぎないとした。取引の実情についても、中古市場における原告商品の流通や百貨店での販路の共通性を考慮し、出所の誤認混同のおそれを否定できないとして、商標の類似性を肯定した。商標的使用についても、原告商標と類似する形状のハンドバッグを販売する行為は商標的使用に当たるとした。損害額については、被告の販売利益合計515万0140円を基礎としつつ、原告商品との大幅な価格差やサイズ・機能面の相違等を考慮して2割の推定覆滅を認め、逸失利益を412万0112円と算定した。加えて、安価な合成皮革製の類似品が多数販売されたことによる信用毀損の無形損害100万円及び弁護士費用52万円を認め、合計564万0112円の損害賠償を認容した。遅延損害金については年3%の割合とした。