AI概要
【事案の概要】 本件は、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(団体規制法)に基づく観察処分に付されている「Aleph」(オウム真理教と同一性を有する団体)が、公安調査庁長官による再発防止処分の請求に対し、本案事件(再発防止処分差止訴訟)の判決確定まで当該処分を仮に差し止めることを求めた事案である。公安調査庁長官は、申立人が令和4年2月以降4回にわたり提出した報告書において、構成員、活動用の土地・建物、収益事業の種類及び概要、資産、出家信徒の位階の各事項を報告しておらず、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度の把握が困難であるとして、特定の土地・建物の使用禁止及び金品等の贈与を受けることの禁止を内容とする再発防止処分を請求した。申立人は従前から未成年構成員や一部施設を報告せず、令和2年以降は収益事業・資産・位階の報告も停止し、公安調査庁から合計25回以上の是正指導を受けたにもかかわらず不報告を継続していた。 【争点】 主な争点は、①適法な差止めの訴えが提起されたか、②償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があるか、③本案について理由があるとみえるときに当たるか(団体規制法8条1項の要件充足性)、④裁量権の逸脱・濫用の有無、⑤公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるかであった。特に③に関し、申立人は、不報告に係る事項は要報告事項に当たらない、立入検査等により危険性の把握は困難となっていないなどと主張した。 【判旨】 東京地裁(鎌野真敬裁判長)は、本件申立てを却下した。裁判所は、争点③(本案の理由の有無)について、まず「報告がされない場合」の該当性を検討し、申立人が主張する在家会員は「構成員」に当たらないとの点について、団体への加入者として認知されていれば構成員に該当すると判示した。施設についても、出家構成員の集団生活に利用されている以上「団体の活動の用に供されている」建物に当たるとし、収益事業についても、代表者・従業員がいずれも出家構成員であり経理も一体的に管理されていること等から、申立人が実質的に経営するものと認定した。次に、危険性把握の困難性について、不報告が人的・物的・資金的要素という団体活動の主要な要素に係る意図的な行為であり、立入検査等についても申立人が組織的に対抗措置を講じていることから、調査の迅速性・有効性は減殺されるとして、危険性の把握が困難であるとの要件を否定できないとした。裁量権の逸脱・濫用についても、処分内容には必要性及び合理的関連性があるとして否定し、本案について理由があるとみえるときには当たらないと結論付けた。