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最高裁

未払賃金等請求事件

判決データ

事件番号
令和4受1019
事件名
未払賃金等請求事件
裁判所
最高裁判所第二小法廷
裁判年月日
2023年3月10日
裁判種別・結果
判決・破棄差戻
裁判官
草野耕一三浦守岡村和美
原審裁判所
福岡高等裁判所

AI概要

【事案の概要】 一般貨物自動車運送事業を営む被上告人(使用者)に雇用され、トラック運転手として勤務していた上告人(労働者)が、時間外労働、休日労働及び深夜労働に対する未払賃金並びに付加金等の支払を求めた事案である。上告人は平成24年2月頃に被上告人と雇用契約を締結したが、契約書は作成されなかった(同契約は平成29年12月25日に終了)。被上告人は当初、日々の業務内容等に応じて月ごとの賃金総額を決定し、そこから基本給と基本歩合給を差し引いた額を時間外手当とする賃金体系(旧給与体系)を採用していた。平成27年5月に労働基準監督署から適正な労働時間管理の指導を受けたことを契機に就業規則を変更し、新給与体系を導入した。新給与体系では、基本給等を通常の労働時間の賃金として労基法37条等に定められた方法により算定した額を「本件時間外手当」とし、賃金総額から基本給等を差し引いた本件割増賃金の総額から本件時間外手当を差し引いた額を「調整手当」とした。新給与体系の下でも賃金総額は旧給与体系とほとんど変わらなかったが、基本歩合給が大幅に減額され、調整手当が新たに導入された。上告人の1か月当たりの時間外労働等は平均80時間弱であった。 【争点】 本件割増賃金(本件時間外手当及び調整手当)の支払により、労働基準法37条の割増賃金が支払われたといえるか。 【判旨】 最高裁は、原判決を破棄し、福岡高裁に差し戻した。まず、割増賃金の支払といえるためには、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別できることが必要であるとの判例法理を確認した。その上で、本件時間外手当と調整手当は、前者の額が定まれば当然に後者の額が定まる関係にあり、本件割増賃金の内訳として計算上区別された数額にそれぞれ名称が付されている以上の意味はないとした。そして、新給与体系は、その実質において、旧給与体系の下で通常の労働時間の賃金として支払われていた基本歩合給の一部を名目上割増賃金に置き換えたものであり、本件割増賃金には通常の労働時間の賃金として支払われるべき部分が相当程度含まれていると判断した。具体的には、本件割増賃金を時間外労働等の対価と仮定すると、通常の労働時間の賃金は1時間当たり平均約840円となり、旧給与体系の下での1時間当たり1300〜1400円程度から大きく減少すること、また実際の勤務状況に照らして想定し難い程度の長時間の時間外労働を見込んだ過大な割増賃金が支払われる体系となることを指摘した。本件割増賃金のうちどの部分が時間外労働等の対価に当たるか明確でない以上、通常の労働時間の賃金と割増賃金とを判別することはできず、本件割増賃金の支払により労基法37条の割増賃金が支払われたとはいえないと結論付けた。裁判官全員一致の意見。 【補足意見】 草野耕一裁判官の補足意見は、固定残業代制度の経済合理性を認めつつも、通常の労働時間の賃金として支払われるべき金額が名目上時間外労働の対価に含まれるという脱法的事態が生じた場合には、当該固定残業代の支払を法定割増賃金の支払として認めるべきではないとする。その理由として、使用者が通常の労働時間の賃金と法定割増賃金を大幅に引き下げることで想定残業時間を極めて長くし、追加対価なしに大幅な時間外労働を行わせ得る事態が生じ得ること、そのような事態の発生後でなければ司法的救済を得られないとすれば労基法37条の趣旨の効率的な達成は期待し難いことを挙げた。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。