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下級裁

再審開始決定に対する即時抗告申立事件

判決データ

事件番号
令和3く14
事件名
再審開始決定に対する即時抗告申立事件
裁判所
東京高等裁判所
裁判年月日
2023年3月13日
裁判種別・結果
棄却
裁判官
大善文男青沼潔仁藤佳海
原審裁判所
静岡地方裁判所

AI概要

【事案の概要】 昭和41年6月30日、静岡県清水市のみそ製造会社専務取締役宅で火災が発生し、専務とその妻子4名が殺害された強盗殺人・放火事件(いわゆる袴田事件)である。同社従業員Aは逮捕・起訴され、昭和43年に静岡地裁で死刑判決を受け、控訴・上告がいずれも棄却されて昭和55年に確定した。確定判決は、事件翌年の昭和42年8月に工場内のみそタンクから発見された血痕付きの衣類5点(白ステテコ、白半袖シャツ、ネズミ色スポーツシャツ、鉄紺色ズボン、緑色パンツ)がAの犯行着衣であることを犯人性認定の最大の根拠とした。Aは第1次再審請求が棄却された後、平成20年に第2次再審請求がなされ、平成26年に静岡地裁が再審開始を決定したが、平成30年に東京高裁(前高裁決定)がこれを取り消した。最高裁は令和2年12月、前高裁決定には審理不尽の違法があるとして取り消し、みそ漬けされた血液の色調変化に関する専門的知見を調査した上で改めて判断するよう東京高裁に差し戻した。本件は、その差戻後の即時抗告審である。 【争点】 中核的争点は、1年以上みそ漬けされた衣類の血痕から赤みが消失することが化学的機序として合理的に推測できるか否かである。5点の衣類に付着した血痕には発見時に赤みが残っていたところ、もし1年以上のみそ漬けで血痕の赤みが消失するのであれば、5点の衣類が確定判決認定のとおり事件直後に隠匿されたものとはいえなくなり、事件後相当期間経過後に第三者が隠匿した可能性が生じ、Aの犯人性に合理的疑いが生じることになる。 【判旨】 当裁判所は、検察官の即時抗告を棄却し、再審開始決定を維持した。弁護側が提出した法医学の専門家(X1教授ら)の鑑定によれば、血液がみそに漬けられると、みその低いpHと高い塩分濃度により赤血球の細胞膜が破壊されて溶血が生じ、ヘモグロビンが変性・分解してメトヘモグロビンやヘミンが生成され、さらにメイラード反応により褐色のメラノイジンが生成されることで、数日から数週間で赤みは失われ、黒茶褐色から黒褐色に変化する。この化学的機序に関する見解は複数の実験により裏付けられており、信用できる。一方、検察側の専門家の見解はいずれもこの結論を覆すに足りない。したがって、1年以上みそ漬けされた血痕の赤みは消失することが化学的機序として合理的に推測でき、赤みが残っていた5点の衣類が事件直後にタンクに隠匿されたとする確定判決の認定には合理的疑いが生じる。5点の衣類以外の証拠(パジャマの血液・混合油、凶器購入、自白調書等)についても、それぞれAの犯人性を推認する力は限定的であり、第三者(捜査機関を含む)が5点の衣類をタンクに隠匿した可能性が否定できない以上、Aを犯人と認定することはできない。みそ漬け実験報告書等の新証拠は刑訴法435条6号の「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」に該当し、再審開始を認めた原決定の結論は是認できる。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。