覚醒剤取締法違反、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律違反被告事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告人は、芸能活動を行っていた者であり、令和4年1月30日、名古屋市内のホテル客室において覚醒剤約0.164グラムを所持し(原判示第1)、同年2月24日頃、名古屋市内の別のホテル客室において覚醒剤を自己使用し(同第2)、同日、覚醒剤約0.009グラム及び指定薬物2本(液体合計約4.407グラム)を所持した(同第3)。被告人は、仕事に集中したいなどという動機で違法薬物の所持・使用に及んでいた。なお、被告人は1月30日にホテルに覚醒剤を置き忘れたことから、自身に捜査が及ぶ可能性を理解していたはずであるにもかかわらず、さらに覚醒剤を入手・使用するに至っており、違法薬物に対する依存性の高さがうかがわれた。原審(名古屋地裁)は、被告人が事実を認めていること、周囲の者を傷つけたことを後悔する態度を示していること、父親が家族ぐるみで支援すると約束していること、被告人には罰金前科しかないことなどを考慮し、社会内で更生する機会を与えるのが相当であるとして、懲役1年8月・3年間執行猶予の判決を言い渡した。これに対し、弁護人が量刑不当を主張して控訴した。 【判旨(量刑)】 控訴棄却。弁護人は、①被告人は芸能活動を行ってきた者であり、本件を受けて社会的信用が大きく低下し、社会復帰後の生活に甚大な影響が生じているから、同種犯罪で一般的に処罰された場合と比べて多大な社会的制裁を受けている、②原判決の量刑は同種事案との均衡を失していると主張した。しかし、①の事情を社会的制裁と呼ぶかどうかはともかく、これを被告人に有利に考慮するとしても自ずから限度があり、原判決の量刑を左右するものとはいえないとした。②については、弁護人が本件とは事実関係や前科関係が異なる実刑判決を1件だけ取り出して比較するものであり、その手法自体相当とはいい難く、原判決の量刑判断が同種事案との刑の均衡ないし衡平を欠くものとはいえないと判断した。また、当審における事実取調べの結果、原判決後に被告人が薬物依存治療を開始したことが認められるが、これを踏まえても原判決の量刑が重過ぎるに至ったということはできないとして、控訴を棄却した。