AI概要
【事案の概要】 本件は、郵便局の渉外社員として生命保険募集業務に従事していた原告ら2名が、被告(日本郵便株式会社)から懲戒解雇されたことについて、懲戒解雇の無効を主張し、労働契約上の地位確認及び未払賃金・賞与の支払を求めた事案である。原告aは、平成22年6月から平成30年8月までの間、当時67歳ないし75歳の契約者Xに対し、既契約を解約させつつ計40件の新規保険契約を締結させた(いわゆる乗換契約)。原告bは、平成25年1月から平成30年10月までの間、当時75歳ないし81歳の契約者Yに対し、同様に計26件の乗換契約を行った。被告は、原告らが契約者の意向を把握せず自己の都合のみで契約を提案したとして、就業規則に基づき懲戒解雇とした。なお、原告aの共同募集人であったdに対する処分は2か月の停職にとどまっていた。 【争点】 (1) 本件各懲戒解雇の有効性(懲戒事由の存否及び社会通念上の相当性) (2) 未払賃金等請求権の有無及び額 【判旨】 裁判所は、懲戒解雇はいずれも無効であると判断し、原告らの地位確認請求及び賃金・賞与請求を概ね認容した。意向把握義務違反について、原告らは被告が募集人に求めていた手続(「ご意向確認書」等の書面を用いた説明・確認)に従って募集行為を行っており、契約者らも意向確認書において契約が自らの意向に沿うものであると回答していたことから、被告が募集人に一般的に求めていた水準の意向把握を履践していたと認定した。不利益事実の不告知についても、被告は具体的な解約損の額や累計額を告知するよう募集人に指示しておらず、書式にもそれを記載する欄がなかったこと、契約者らは解約損が生じること自体は認識していたこと等から、原告らに解約損の額まで説明すべき義務があったとは認められないとした。また、始末書の記載についても、処分を軽くするために反省の内容にしたとの原告らの弁解が不合理とはいえないとし、契約者ら自身も契約内容が意向と一致していたと回答していることを重視した。賃金額については、営業手当は前年実績の月額平均を認め、賞与の業績分はE査定(その他)の成績率0.66を適用した。