退去強制令書発付処分取消等請求事件等
判決データ
AI概要
【事案の概要】 ウガンダ共和国の国籍を有する外国人女性である原告は、レズビアンであり、同性愛者であることを理由にウガンダで迫害を受けるおそれがあるとして、入管法61条の2第1項に基づく難民認定申請をした。これに対し、大阪出入国在留管理局長は、原告を難民と認定しない処分(本件不認定処分)をするとともに、在留特別許可をしない処分(本件在特不許可処分)をした。また、大阪入管主任審査官は、送還先をウガンダとする退去強制令書発付処分(本件退令発付処分)をした。原告は、令和2年2月に関西国際空港に到着して上陸を申請したが、申請が虚偽であるとして上陸許可を受けられず、その後、退去命令を受けたにもかかわらず退去しなかったことから、入管法24条5号の2に該当するとして退去強制手続が進められた。審査請求の段階では、難民審査参与員が口頭意見陳述を実施しないこととした上で、法務大臣が審査請求を棄却した。原告は、本件不認定処分、本件在特不許可処分及び本件退令発付処分の各取消しと難民認定の義務付けを求めて提訴した。 【争点】 主要な争点は、(1)原告の難民該当性(「迫害」及び「十分に理由のある恐怖」の解釈、立証責任及び立証の程度、ウガンダにおけるLGBTIの状況、原告が警察から逮捕・勾留されて暴行を受けた事実の有無)、(2)本件在特不許可処分の適法性、(3)本件退令発付処分の適法性である。被告は、「迫害」とは生命又は身体の自由の侵害又は抑圧をいうと主張し、原告の供述の信用性を争った。 【判旨】 裁判所は、原告の請求をいずれも認容した。まず、ウガンダにおけるLGBTIの状況について、ウガンダ刑法145条が同性間の性行為に終身刑を科す旨規定していること、警察がLGBTIの人々を恣意的に逮捕・勾留する事例が多数報告されていること、逮捕された者が強制的な肛門検査や暴行を受けた事例があること等を詳細に認定した。そして、レズビアンであることが「特定の社会的集団の構成員であること」に該当すると判断した。原告が2017年頃にレズビアンであることを理由に警察官に逮捕・勾留され、棒で殴られる暴行を受けたとの供述について、原告の身体に残る傷痕の形状やウガンダの病院の医療記録との整合性を認め、供述の信用性を肯定した。原告がウガンダに帰国すれば同様の迫害を受けるおそれがあり、通常人が原告の立場に置かれた場合にも迫害の恐怖を抱く客観的事情が存在するとして、原告は難民に該当すると認定した。本件在特不許可処分及び本件退令発付処分についても、原告が難民であることを前提に、いずれも違法であるとして取り消し、大阪入管局長に対し難民認定をすべき旨を命じた。