労働契約法20条違反による損害賠償請求事件
判決データ
- 事件番号
- 平成30ワ521
- 事件名
- 労働契約法20条違反による損害賠償請求事件
- 裁判所
- 津地方裁判所
- 裁判年月日
- 2023年3月16日
- 裁判官
- 竹内浩史、山本健一、山﨑次矩
AI概要
【事案の概要】 電気機器用品等の製造販売を目的とする被告会社の三重県亀山事業所において、有期労働契約を締結して勤務していた原告ら60名(多くは日系ブラジル人)が、無期労働契約の正社員との間で、通勤手当、扶養手当、リフレッシュ休暇、賞与、賃金、年次有給休暇(日数・半日取得の可否)、特別休暇及び福利厚生等に相違があったことは労働契約法20条(平成30年改正前)に違反すると主張し、不法行為に基づく損害賠償(請求総額約2億8971万円)等を求めた事案である。原告らの多くは被告の子会社から転籍し、有期雇用契約社員として反復更新を経て約10年以上勤務していた。原告らは製造現場で比較的単純な反復継続的作業に従事し、正社員は初期設定、品質管理、不具合対応等の管理業務も担当していた。 【争点】 (1) 原告らが当初から準社員であったといえるか、(2) 正社員との間の各労働条件の相違が労働契約法20条にいう不合理なものに当たるか(通勤手当、扶養手当、リフレッシュ休暇、賞与・賃金格差、年次有給休暇の半日取得、同付与日数、特別休暇、福利厚生)、(3) 損害額が主な争点となった。 【判旨】 裁判所は、争点(1)について、原告らは有期雇用契約社員として労働契約を締結したと認定し、準社員であることを前提とした賞与請求を棄却した。争点(2)について、正社員と有期雇用契約社員らとでは、職務内容(正社員は管理業務等も担当)及び配置変更の範囲(正社員は全国転勤の可能性あり)に大きな相違があると認定した上で、個別の労働条件ごとに以下のとおり判断した。通勤手当の不支給は、被告が通勤バスという代替手段を提供しており不合理とはいえないとした。扶養手当の不支給は、扶養手当の趣旨(生活保障・継続雇用確保)が長期勤務の有期雇用契約社員にも妥当するとして不合理と認めた。リフレッシュ休暇制度の不適用は、勤続年数に対する報償という趣旨が10年以上勤務した原告らにも妥当するとして不合理と認めた。賞与の不支給及び賃金格差は、職務内容・人事異動等の大きな差異に照らし直ちに不合理とはいえないとした。年次有給休暇の半日取得を認めないことは、柔軟な休暇取得という趣旨が有期雇用契約社員にも妥当するとして不合理と認めた。年次有給休暇の付与日数の差は、6年目で正社員と同日数となること等から不合理とまではいえないとした。特別休暇の不付与・日数差は、冠婚葬祭対応という趣旨が職務内容と無関係であるとして不合理と認めた。福利厚生については被告の不法行為責任を否定した。以上により、扶養手当、リフレッシュ休暇、半日休暇及び特別休暇に関する損害として合計3246万7050円及び遅延損害金の支払を命じ、その余の請求を棄却した。