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下級裁

石炭火力発電所建設等差止請求事件

判決データ

事件番号
平成30ワ1551
事件名
石炭火力発電所建設等差止請求事件
裁判所
神戸地方裁判所
裁判年月日
2023年3月20日
裁判官
髙松宏之矢向孝子山口大輔

AI概要

【事案の概要】 神戸市灘区に所在する神戸製鉄所の敷地内に、被告コベルコパワー(被告神戸製鋼の100%子会社)が石炭火力発電所2基(出力各65万kW、合計130万kW)を新設し、被告関西電力が30年間にわたり全量買電する計画(本件事業)について、近隣住民である原告ら(神戸市、芦屋市、西宮市等の住民)が、人格権に基づき、本件新設発電所の建設差止め、稼働差止め及び被告関西電力の発電指示の差止めを求めた事案である。原告らは、(1)本件新設発電所の稼働によりNOx、SOx、ばいじん、水銀、PM2.5等の大気汚染物質が排出され健康被害が生じるおそれがあること、(2)石炭火力発電所の稼働により大量のCO2が排出され地球温暖化が進行し気候変動による災害がもたらされるおそれがあることを主張した。予備的請求として、CO2排出量の上限を定めた割合的差止めも求めた。 【争点】 (1) 被告関西電力に対する訴えの利益及び被告適格の有無、(2) 大気汚染による権利侵害又はそのおそれに基づく差止請求の可否(伝統的人格権及び健康平穏生活権の侵害の有無)、(3) 温暖化による権利侵害又はそのおそれに基づく差止請求の可否(伝統的人格権及び安定気候享受権の侵害の有無)、(4) 被告関西電力の責任の成否。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、まず被告関西電力に対する訴えの利益を肯定した上で、本案の各争点について以下のとおり判断した。 大気汚染に関しては、環境影響評価(アセスメント)の結果、本件新設発電所の稼働による大気汚染物質の寄与濃度は環境基準を大幅に下回ること、高性能のばい煙処理施設やUSC(超々臨界圧)発電設備の導入が予定されていること等を認定し、原告らの生命・身体・健康に対する侵害の蓋然性ないし具体的危険は認められず、受忍限度を超える違法性も認められないとした。健康平穏生活権に基づく主張についても、客観的に深刻な不安を生じさせるだけの事実は認められないとして退けた。 温暖化に関しては、IPCCの各報告書に基づき、人為起源のCO2排出と地球温暖化の因果関係及び気候変動による被害の可能性を認めつつも、本件新設発電所のCO2排出量は全世界の年間エネルギー起源CO2排出量の0.02%にとどまること、温暖化が進んだ場合に原告ら個々人に実際に被害が生じるか否かは様々な不確定要素に左右されること、パリ協定やカーボンニュートラル目標等の国内外の取組みが進められていること等から、原告らの生命・身体・健康に対する具体的危険が生じているとは認められないとした。さらに、CO2排出と原告ら個々人の被害との間の因果関係について、地球温暖化は全世界のCO2排出の総体によって生じるものであり、特定の排出源と個々人の被害との間に直接的な連関を認めることはできないとし、排出削減方法の選択は政策的判断に委ねられるべきであるとして、相当因果関係を否定した。安定気候享受権については、具体的危険が認められない段階での気候の安定そのものを求める主張は、個々人の人格権により保護される法益とは認められないとした。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。