国家賠償請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和3ネ2139
- 事件名
- 国家賠償請求控訴事件
- 裁判所
- 大阪高等裁判所
- 裁判年月日
- 2023年3月23日
- 裁判種別・結果
- その他
- 裁判官
- 中垣内健治、髙橋伸幸、國分晴子
AI概要
【事案の概要】 旧優生保護法(昭和23年法律第156号)に基づく優生手術を受けさせられたとする聴覚障害者2名及び脳性小児麻痺による運動障害を有する者1名並びにそれぞれの配偶者が、旧優生保護法は憲法13条・14条1項に違反して無効であり、国会議員には同法を改廃しなかった立法不作為があるなどと主張して、国に対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めた事案の控訴審である。原審(神戸地裁)は、民法724条後段の除斥期間の経過を理由に控訴人らの請求をいずれも棄却したため、控訴人らが控訴するとともに請求を拡張した。なお、手術を受けた当事者のうち2名は訴訟係属中に死亡し、各配偶者が訴訟手続上の地位を承継している。 【争点】 (1) 旧優生保護法の優生条項の違憲性 (2) 国会議員による立法行為の国賠法上の違法性 (3) 民法724条後段の除斥期間の適用の可否(除斥期間経過の効果制限の有無) (4) 損害額 【判旨】 大阪高裁は原判決を変更し、控訴人らの請求を一部認容した。まず、旧優生保護法の優生条項は、特定の障害又は疾患を有する者を「不良」とみなし、生殖機能を回復不可能にさせる手術により子をもうけるか否かの意思決定の機会を奪うものであり、その立法目的は極めて非人道的で個人の尊重を基本原理とする憲法の理念に反することが明らかであるとして、憲法13条及び14条1項に違反すると判断した。次に、国会議員による優生条項に係る立法行為は、国民の憲法上の権利を違法に侵害することが明白であるにもかかわらずこれを行ったものとして、国賠法1条1項の適用上違法と評価されるとした。除斥期間については、被控訴人(国)が旧優生保護法を合憲として執行を続け、優生施策を積極的に推進し、教育現場でも優生思想を正当化する教育を行うなどして、対象者が自己の受けた手術が旧優生保護法に基づくものであることや同法が憲法上の権利を違法に侵害するものであることを認識するのを著しく困難にする状況を殊更に作出したと認定し、正義・公平の理念に著しく反する特段の事情があるとして、除斥期間の経過による効果を制限した。具体的には、被控訴人が優生条項の違憲性を認めた時又は最高裁判決により違憲が確定した時のいずれか早い時期から6か月を経過するまでは除斥期間の効果が発生しないとした。損害額については、手術を受けた本人について各1300万円ないし1500万円の慰謝料、配偶者について各200万円の慰謝料に弁護士費用を加算し、控訴人2及び控訴人3に各1650万円、控訴人5に1650万円の支払を命じた。