傷害致死、恐喝未遂、傷害被告事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告人は、滋賀県の自宅で同居していた被害者④(当時25歳)に対し、実子Aと共謀の上、令和元年6月頃から約5か月間にわたり、手拳や平手で顔面を殴打し、木刀や金属製の棒で手足・腕・肩・腹部等を殴るなどの暴行を日常的に加えるとともに、被害者④に与える食事を徐々に減らして数日に1食・少量しか与えず、「逃げたらやくざがいるから見付ける」などと告げて逃亡を封じた。その結果、被害者④は身長174cm・体重36.8kgという極度のるい痩状態に陥り、免疫力の著しい低下により肺炎・肺真菌症・十二指腸穿孔に基づく腹膜炎を発症し、同年10月26日、敗血症性ショックにより死亡した(傷害致死)。また、被告人はAと共謀し、被害者④の実兄である被害者⑤に対し、「やくざを連れてそっちいくぞ」「お前を殴るぞ」などと脅迫して合計170万円を要求したが、被害者⑤が応じなかったため未遂に終わった(恐喝未遂)。さらに、本件以前にも同居していた別の被害者3名に対する傷害3件が部分判決により認定されており、うち1名には回復見込みのない高次脳機能障害の後遺症が残った。 【争点】 被告人は、傷害致死について、被害者④に対し軽微な暴行を加えたことはあるが重傷を負わせるような暴行や食事制限はしておらず、Aへの指示もしていないと主張した。恐喝未遂についても、生活費の援助を依頼しただけで脅迫行為はしていないと主張し、弁護人はいずれも無罪を主張した。主な争点は、①被告人及びAによる暴行・食事制限の有無及び程度、②傷害致死におけるAとの共謀の成否、③恐喝の実行行為の有無であった。 【判旨(量刑)】 裁判所は、Aの交際相手Cをはじめとする複数の目撃者の証言がいずれも相互に符合し、司法解剖結果や客観的証拠とも整合することから信用性を認め、被告人の供述は自己の刑責を免れるための虚偽供述として排斥した。傷害致死については、被告人とAの暴行及び食事制限が被害者④に対する虐待の一環として一体の行為と評価でき、共同正犯の成立を認定した。恐喝未遂についても、被害者⑤の具体的な証言や通話履歴等の客観的証拠から犯罪事実を認定した。量刑については、約5か月間にわたる苛烈な暴行と食事制限により被害者を死に至らしめた行為は「人として扱わない残酷で卑劣極まりないもの」であり、約9年間にわたり3名への傷害を繰り返しエスカレートさせた経緯も踏まえ、同種事案の量刑傾向に比して格段に重く処罰すべき事案であるとして、求刑どおり懲役24年を言い渡した。