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下級裁

開門請求控訴事件

判決データ

事件番号
令和2ネ342
事件名
開門請求控訴事件
裁判所
福岡高等裁判所
裁判年月日
2023年3月28日
裁判種別・結果
棄却
裁判官
森冨義明野々垣隆樹伊賀和幸
原審裁判所
長崎地方裁判所

AI概要

【事案の概要】 諫早湾内において漁業権を有する漁業協同組合(小長井漁協、国見漁協、瑞穂漁協)の組合員である控訴人らが、国(被控訴人)の行う国営諫早湾土地改良事業として設置された潮受堤防(いわゆる諫早湾干拓事業)により、諫早湾内の漁場環境が悪化し、漁業法上の「漁業を営む権利」(組合員行使権)が侵害されたと主張して、潮受堤防の北部及び南部に設置されている各排水門を開門し、調整池に海水を流入させて海水交換できるよう開門操作を求めた事案の控訴審である。原審(長崎地裁)は、潮受堤防の締切りによる環境変化が漁場環境を悪化させたとはいえないとして控訴人らの請求を棄却しており、控訴人らがこれを不服として控訴した。 【争点】 主な争点は、①控訴人らの有する組合員行使権の範囲及び組合員行使権に基づく物権的請求権行使の可否、②潮受堤防の締切りと漁場環境悪化との因果関係の有無、③組合員行使権侵害の有無、④侵害が認められる場合に妨害排除又は妨害予防請求が認められるかである。 【判旨】 福岡高裁は、まず組合員行使権について、漁協の組合員は現に漁業を営んでいるか否かにかかわらず組合員行使権を有し、同権利は物権的効力を有するため、侵害された場合には妨害排除請求及び妨害予防請求が可能であると判示した。 次に漁場環境への影響について、潮受堤防の締切りにより潮流速が低下して成層化が進行し、赤潮の発生件数が増加したこと、貧酸素化が進行したこと、底質環境が悪化(浮泥の堆積、硫化水素の発生)したことを認定した。さらに、約15.5k㎡の干潟消失による水質浄化機能等の喪失も認め、これらの要因が複合して諫早湾の漁場環境の悪化を招来した高度の蓋然性があると認定した。その上で、タイラギ漁業及び漁船漁業については漁獲量の減少が認められ、控訴人らの組合員行使権が一部侵害されていると判断した。ただし、アサリ養殖業、カキ養殖業及びノリ養殖業については、漁獲量の減少を認めるに足りないとした。 しかしながら、妨害排除・妨害予防請求の可否については、被侵害利益が基本的に財産的権利であること、本件事業が防災機能強化や優良農地造成という高い公益性・公共性を有すること、湾内漁業補償契約により補償金が支払済みであること、常時開門した場合には防災機能の喪失やかんがい用水の確保不能等の重大な影響が予測され事前対策工事の目途も立っていないこと等を総合的に利益衡量し、被侵害利益に対する救済を損害賠償にとどめるのでは足りないとはいえないとして、妨害排除又は妨害予防の請求は認められないと結論づけ、控訴を棄却した。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。