生活保護変更決定処分取消等請求事件、生活保護基準引下げ違憲処分取消等請求事件
判決データ
- 事件番号
- 平成26行ウ16
- 事件名
- 生活保護変更決定処分取消等請求事件、生活保護基準引下げ違憲処分取消等請求事件
- 裁判所
- 大津地方裁判所
- 裁判年月日
- 2023年4月13日
- 裁判官
- 堀部亮一、山口美和
AI概要
【事案の概要】 本件は、大津市内に居住し生活保護法に基づく生活扶助の支給を受けている原告ら(2事件)が、平成25年厚生労働省告示第174号及び平成27年厚生労働省告示第227号による生活保護基準の改定(本件保護基準改定)に伴い、処分行政庁から生活扶助の支給額を減額する保護変更決定を受けたことについて、被告大津市に対しその取消しを、被告国に対し国家賠償法1条1項に基づきそれぞれ1万円の損害賠償を求めた事案である。本件保護基準改定は、①基準部会の検証結果を踏まえた生活扶助基準の年齢階級・世帯人員・級地別の展開指数と一般低所得世帯の消費実態との乖離を調整する「ゆがみ調整」、②平成20年から平成23年にかけての消費者物価指数の下落(マイナス4.78%)を生活扶助基準に反映させる「デフレ調整」、③激変緩和措置として検証結果の反映を2分の1にとどめ、3年間で段階的に実施するという内容であった。 【争点】 主な争点は、①本件保護基準改定に係る厚生労働大臣の判断に裁量権の逸脱濫用があるか(判断枠組み、デフレ調整の合理性、ゆがみ調整の合理性、両調整の併用の当否、手続の不備・動機の不正の有無)、②本件保護基準改定が国家賠償法上違法であるかである。原告らは、生活扶助相当CPIの算出方法が国際規準に反すること、基準部会への付議なくデフレ調整と2分の1処理がされたこと、政権与党の選挙公約実現という不正な動機があったことなどを主張した。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、保護基準の改定については厚生労働大臣に専門技術的かつ政策的見地からの裁量権があるとした上で、デフレ調整について、平成19年報告書で生活扶助基準の水準が高いと指摘されながら据え置かれていた経緯があり、平成20年以降の物価下落を検証するため同年を期首とした判断には合理性があると認定した。生活扶助相当CPIの算出についても、ウエイト参照時点の設定はロウ指数の理論上許容される範囲内であり、品目の相違も全体の約3%にすぎず不当とはいえないとした。ゆがみ調整については、第1・十分位との比較や2分の1処理も、生活保護受給世帯間の公平を図る趣旨に照らし合理的であるとした。両調整の併用についても、水準の見直しと展開指数の見直しという性質の異なる調整であり二重評価には当たらないと判断した。手続面では、基準部会への付議は法令上義務付けられておらず、政治的動機についても改定自体が合理的な必要性に基づく合理的手法で行われた以上、裁量権の逸脱濫用とはいえないと結論づけた。