AI概要
【事案の概要】 原告(帝國纎維株式会社)は、「大容量送水システム」に関する特許(特許第5695790号)の特許権者であり、消防・防災用の送水車両等を製造販売する会社である。被告(日本機械工業株式会社)は、消防ポンプ自動車の製造販売等を業とする会社である。本件特許発明は、取水用水中ポンプを駆動するディーゼルエンジンの燃料タンクに燃料残量計センサーを付設し、そのセンサーが常時検知して送る燃料残量レベル信号に基づいて、別個に設けた燃料備蓄タンクからの燃料供給と停止を自動供給ポンプ機構がオン・オフ制御により自動的に行う大容量送水システムである。原告は、被告が東京電力の柏崎刈羽原子力発電所向けに販売した大容量送水車及び燃料供給装置(被告製品1)並びに中部電力向けに販売したホース車両及び送水車(被告製品2)が本件特許発明の技術的範囲に属するとして、差止め・廃棄及び約7億8705万円の損害賠償を求めた。 【争点】 主な争点は、(1)被告製品1の構成要件充足性(特にA3:燃料残量計センサーの「常時検知」、C:燃料残量レベル信号に基づくオン・オフ制御、D:「システム」該当性)、(2)被告製品2の技術的範囲への属否及び間接侵害の成否、(3)乙2文献・乙20文献・乙19文献を主引例とする無効の抗弁の成否、(4)消滅時効の成否、(5)損害額であった。 【判旨】 裁判所は、事案に鑑みまず構成要件Cの充足性について判断した。本件発明の構成要件Cは、「燃料残量計センサーによって常時検知されて送られる燃料残量レベル信号に基づいて」燃料の供給と停止をオン・オフ制御により自動的に行うことを特定するところ、被告燃料供給装置1においては、圧力スイッチ(PS-01)が補給管路内の圧力を検知し、その検知信号に基づいて燃料供給の停止・再開を行う構成であると認定した。そして、当該圧力スイッチの検出値が燃料タンク内の燃料残量レベルをそのまま反映するものと認めるに足りる証拠はなく、また、燃料タンク側のレベルスイッチが燃料供給設備側のポンプユニットに対して燃料残量に関する信号を送る構成を有していると認める証拠もないとして、被告製品1は構成要件Cを充足せず本件発明の技術的範囲に属さないと判断した。被告製品2についても、被告製品1と同様の理由で技術的範囲に属さず、間接侵害も成立しないとして、原告の請求をいずれも棄却した。