AI概要
【事案の概要】 元韓国籍で日本に帰化した原告が、ゴルフ場の運営等を行う権利能力なき社団である被告(愛岐カントリークラブ)に対し、法人会員としての入会申込みをしたところ、被告の理事会に存在する「外国籍(元外国籍を含む)の会員数に上限を設ける」という非公開の申合せに基づき入会を拒否された。原告は、元外国籍であることを唯一の理由とする本件入会拒否は人種差別に該当する違法な行為であるとして、不法行為に基づく損害賠償(慰謝料300万円及び弁護士費用30万円)の支払を求めた。原告は日本で生まれ育ち、平成30年に日本国籍を取得した日本人男性であり、入会申込みの際には本件申合せの存在を一切知らされていなかった。なお、三重県弁護士会は被告に対し、本件入会拒否が人種差別に該当する違法なものであるとして、元外国籍であることを理由とする入会拒否をしないよう勧告していた。 【争点】 ①本件入会拒否の違法性(元外国籍を理由とする入会拒否が公序良俗に反するか)、②原告の損害の有無及び損害額。被告は、入会拒否は原告が元外国籍であることのみを理由としたものではなく、原告側から慰謝料請求や新聞社への取材対応がなされたことも含め総合的に考慮した結果であると主張した。 【判旨】 請求棄却。裁判所はまず、憲法14条1項及び国際人権規約B規約26条は私人間の関係を直接規律するものではなく、私人間においては私的自治の原則が妥当するとした上で、団体が構成員の加入を現在又は過去の国籍によって制限したとしても直ちに公序良俗に反するものではないとの一般論を示した。本件入会拒否の理由については、令和4年2月に被告の常務理事が原告に対し本件申合せにより入会できない旨を説明して書類一式を返送していることから、正式な理事会決定はなくとも、専ら原告が元外国籍であることを理由とするものと認定した。しかし、被告は会員約1500名の会員制ゴルフクラブであるものの、正会員2名の紹介と理事会の承認を要し、役員は無報酬の名誉職であることから、閉鎖的かつ私的な団体であるとした。また、会員でなくとも会員の同伴・紹介によりプレー可能であること、原告が他のゴルフ場の会員でもあること、ゴルフが社会生活に必要不可欠とはいえないこと等を考慮し、原告の平等の権利への侵害の態様・程度が社会的に許容し得る限界を超えるものとまでは認められないと判断した。日本で生まれ育ち日本国籍を取得している原告との関係で入会制限に合理的理由があるかには疑念を示しつつも、結論として本件入会拒否の違法性を否定した。