AI概要
【事案の概要】 本件は、「茶枝葉の移送方法並びにその移送装置並びにこれを具えた茶刈機」に関する特許(特許第4349999号)について、原告(落合刃物工業株式会社)が請求した特許無効審判の不成立審決に対する取消訴訟である。被告(カワサキ機工株式会社)が保有する本件特許は、バリカン式の刈刃で刈り取った茶枝葉を、刈刃の直後方から負圧吸引作用を奏する背面風のみを移送ダクトに送り込むことで移送する方法及び装置に関するものである。特許庁は、本件特許の請求項1〜3、7〜9及び13に係る発明について、引用文献(甲1:特開平11-346535号、甲2:特開2004-154021号)に基づく新規性欠如及び進歩性欠如の無効理由はいずれも成り立たないとする審決をした。 【争点】 主な争点は、本件発明と甲1発明(先行技術)との相違点の認定及び進歩性の判断の当否である。具体的には、①甲1発明の送風ダクト52風が刈刃34の「直後方」から送り込まれるものといえるか、②甲1発明の摘採作用部36が密閉又は半密閉状態のダクトであり、送風ダクト52風に負圧吸引作用が認められるか、③甲1発明において送風ダクト35風(正面風)を省いて背面風のみで茶枝葉を移送する構成に容易に想到し得るか、が争われた。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、原告の請求を棄却した。まず上記①について、甲1の記載や図面からは、摘採作用部36が刈刃34の直後方に位置することは認められず、送風ダクト52の吹出口は刈刃34から相当程度の距離を有する位置にあるとした。上記②について、甲1の明細書には摘採作用部36が密閉又は半密閉構造であることを示す記載はなく、送風ダクト35から排出される風によって茶葉を後方に送る構成であれば負圧吸引作用がなくとも上昇移送が可能な位置まで茶葉を送れることは容易に理解されるとした。上記③について、刈刃の前進移動に伴う茶葉の後方移動のみでは、送風ダクト52による上昇移送に足りる位置まで茶葉が移動するとは直ちに解されず、送風ダクト35を省いた場合の風環境変化の影響も不明であるとして、送風ダクト35風を省く動機付けは認められないと判断した。以上から、審決の相違点認定及び新規性・進歩性の判断に誤りはないとして、全ての取消事由を排斥した。