AI概要
【事案の概要】 紳士服等の販売業等を行う株式会社Dの代表取締役会長であった被告人A、同社代表取締役副会長であった被告人B、及び子会社である株式会社Eの代表取締役社長であった被告人Cが、共謀の上、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の組織委員会理事Fに対し、同大会の協賛企業(Tier3スポンサー)に選定されること、日本代表選手団の公式服装に係る優先供給権を協賛契約に含めること、追加協賛金の減免、ライセンス契約の迅速な締結・承認手続等、自社に有利かつ便宜な取り計らいを受けたい旨の請託をし、その謝礼等の趣旨で、令和元年9月から令和4年3月までの間、31回にわたり合計2800万円を組織委員会理事が経営する会社の口座に振込入金して賄賂を供与したという贈賄の事案である。 【判旨(量刑)】 裁判所は、犯情の悪質性を指摘した。組織委員会では協賛企業の決定が会長に一任され、会長は理事にマーケティングを任せていたため、理事は強い権限を有していた。被告人らはその影響力を認識した上で、自社の利益を追求するために理事の力を頼って犯行に及んだ。弁護人は被告人らが理事に利用された面があると主張したが、裁判所は、犯行自体は被告人らと理事の思惑が一致した上で敢行されたものであり、責任を大きく低下させる事情とは言い難いとした。請託事項は幅広い事項にわたり、賄賂は約2年6か月間に31回、合計2800万円と高額であった。世界的に注目され国家的に重要なスポーツ大会の運営の公正とこれに対する社会の信頼が害された点も重視された。被告人Aは創業者として犯行を一貫して主導し、捜査を察知すると関係資料の廃棄を指示するなど犯行後の情状も悪く、刑事責任は相当程度に重い。被告人Bはコンサルタント契約の締結に賛同し重要な役割を果たした。被告人Cは実務担当者として主体的に関与したが、被告人Aらに従属する立場にあった。他方、被告人らはいずれも公訴事実を認めて反省の態度を示しており、前科前歴がないか軽微であること、家族の支援があること等の事情も考慮し、被告人Aを懲役2年6月(執行猶予4年)、被告人Bを懲役1年6月(執行猶予3年)、被告人Cを懲役1年(執行猶予3年)とした(いずれも求刑どおり)。