AI概要
【事案の概要】 原告(競馬情報提供会社)と被告会社は、いずれもインターネット上で競馬の勝ち馬予想指数を掲載した競馬新聞を顧客に提供する事業を行っていた。被告会社は、原告の従業員であった被告P1が全額出資して設立した会社であり、設立以来、原告の事務所を間借りし、原告の設備等を共用していた。被告P1及び被告P2は、令和元年10月27日深夜から翌28日未明にかけて、被告会社が使用していたパソコン等を原告事務所から持ち出し、被告会社の事務所を移転させた。原告は、被告らに対し、(1)被告P1らが原告の営業秘密である競馬指数作成プログラム等の情報(本件情報)を不正に持ち出したとして、不正競争防止法に基づく差止め及び損害賠償、(2)被告会社が原告の著作物であるプログラム及びブログを無断使用したとして、著作権法に基づく差止め及び損害賠償、(3)被告会社らが利益分配契約に基づき原告に支払うべき利益を隠匿したとして、共同不法行為に基づく損害賠償を求め、合計約5559万円の支払等を請求した。 【争点】 (1)本件情報が不正競争防止法上の営業秘密に該当するか、被告らが不正取得等をしたか。(2)本件プログラム及び本件ブログが原告の著作物であるか、被告らが著作権を侵害したか。(3)被告会社らに利益分配に係る共同不法行為が成立するか。(4)損害の発生及びその額。 【判旨】 裁判所は、原告の請求をいずれも棄却した。不正競争防止法違反の点については、本件パソコン等に原告の営業秘密である本件情報が保存されていたことを裏付ける的確な証拠がないとした。さらに、被告P1が出版した書籍の内容等から、被告P1は自ら考案した推定3ハロンやハイブリッド指数等の概念を用いて、原告の活動とは別個に勝ち馬予想活動を行ってきたと認定した。被告会社は被告P1が全額出資して設立した原告とは独立した法人であり、ハイブリッド新聞の発行等は被告会社独自のものであったと判断した。原告が主張する利益分配契約についても、契約書等の客観的証拠がなく、被告会社にとって過大な負担となる契約を締結すべき合理的理由も見当たらないとして、法的拘束力ある契約の締結を認めなかった。被告P1が利益の7割ないし7.5割を原告に支払っていた事実は認めつつも、それは原告の事務所の間借りや馬見のノウハウ教示に対する恩義等から原告の要求に応じていたものであり、強制し得る法的義務に基づくものではないと認定した。著作権侵害の点については、本件プログラムは構成要素の選択や数値化等がアイデアにすぎず、具体的記述部分は単純な加減乗除にとどまるとして著作物性を否定した。本件ブログについても、ハイブリッド競馬新聞を広告・紹介するものであり、発行者である被告会社が作成したものと推認されるとして、原告の著作物とは認めなかった。共同不法行為の主張についても、利益分配契約の締結自体が認められない以上、その前提を欠くとして排斥した。