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【事案の概要】 原告(タート・オプティカル・エンタープライゼズ)は、眼鏡フレームの伝説的職人である故A氏が1948年に設立した原タート社の事業を承継したと主張する会社であり、「TART」の文字からなる引用商標(第9類「眼鏡、眼鏡の部品及び附属品」)の商標権者である。被告(株式会社The LIGHT)は、「Julius Tart」の文字からなる本件商標(第9類「眼鏡用つる、眼鏡用レンズ、眼鏡の部品及び附属品、サングラス、眼鏡」)の商標権者であり、2016年以降「JULIUS TART OPTICAL」のブランド名で眼鏡フレーム等を製造販売している。原告は、本件商標が商標法4条1項11号(引用商標との類似)及び同項15号(出所混同のおそれ)に該当するとして、商標登録無効審判を請求したが、特許庁は請求不成立の審決をした。原告がこの審決の取消しを求めて本件訴訟を提起した。 【争点】 ①本件商標「Julius Tart」と引用商標「TART」との類否(商標法4条1項11号該当性)、②本件商標の使用による出所混同のおそれの有無(同項15号該当性)。原告は、本件商標中の「Tart」部分が要部であり引用商標と類似すること、引用商標「TART」は眼鏡関係商品において世界的に周知なブランドであることなどを主張した。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、原告の請求を棄却した。まず引用商標の周知性について、原告商品が日本に輸出された数量は2009年から2016年までの合計で約750個程度にとどまり、日本の眼鏡フレーム市場で主要な割合を占めているとは到底いえないこと、一部の雑誌やウェブページで紹介されたことはあるものの、頻繁に取り上げられていたとは認められないことから、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標「TART」が原告の業務に係る商品を表示するものとして我が国の取引者及び需要者の間で広く認識されていたとは認められないとした。本件商標の要部について、「Julius」と「Tart」は同書同大でまとまりよく一体的に構成されており、「ジュリアスタート」とよどみなく称呼できること、引用商標が周知とはいえないことから、「Tart」を要部として抽出することはできず、一体不可分の商標と認定した。原告が主張する欧米ではラストネームで呼ぶ慣行についても、日本の需要者が「Julius Tart」を欧米人の名前と想起するとは必ずしも認め難いとして退けた。以上から、本件商標と引用商標は外観及び称呼において明瞭に区別でき非類似であるとして11号該当性を否定し、15号の出所混同のおそれについても、両商標の類似性の低さと引用商標の周知性が認められないことから否定した。