発信者情報開示請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和4ネ10080
- 事件名
- 発信者情報開示請求控訴事件
- 裁判所
- 知的財産高等裁判所
- 裁判年月日
- 2023年4月26日
- 裁判官
- 大鷹一郎、遠山敦士、大鷹一郎
- 原審裁判所
- 東京地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 本件は、写真及び新聞紙面の著作権者である被控訴人(創価学会)が、ツイッター上にされた2件の投稿により、被控訴人の写真及び新聞に係る著作権(公衆送信権)が侵害されたと主張して、ツイッターを運営する控訴人(Twitter, Inc.)に対し、プロバイダ責任制限法5条1項に基づき、発信者情報(電話番号及びメールアドレス)の開示を求めた事案の控訴審である。被控訴人の職員が業務として撮影した名誉会長の上半身写真(本件写真)及び聖教新聞の座談会記事を含む紙面(本件新聞)がツイッターに無断で投稿された。原審は被控訴人の請求を認容し、控訴人がこれを不服として控訴した。 【争点】 主な争点は、(1)本件投稿1は本件写真を適法に引用したものか(争点1)、(2)本件投稿2は本件新聞の創作性ある表現部分を利用したものか(争点2-1)、(3)本件投稿2は本件新聞を適法に引用したものか(争点2-2)、(4)本件座談会記事は被控訴人を著作者とする編集著作物に当たるか(争点3-1)、(5)本件投稿2は本件座談会記事を適法に引用したものか(争点3-2)の5点である。控訴人は特に争点3-1について、座談会記事のレイアウトや段組は日刊新聞においてありふれたものであり創作性がなく、いわゆる「版面権」の保護を求めるに等しい主張であるとして、編集著作物に該当しないと主張した。 【判旨】 知財高裁は、控訴を棄却し、原判決を維持した。本件写真については、被控訴人の職員が業務として撮影し、撮影方向・構図・シャッタースピード・絞りの選択等により思想又は感情を創作的に表現した写真の著作物であり、職務著作として被控訴人に著作権が帰属すると認定した。本件座談会記事の編集著作物性については、座談会出席者の発言内容を記載した本文、見出し、出席者の顔写真、会員らの写真、注意事項リスト等の素材の選択又は配列において被控訴人の思想又は感情が創作的に表現されていると認め、編集著作物に該当すると判断した。控訴人の「版面権」に関する主張に対しては、編集著作物該当性の根拠はレイアウトや段組それ自体の創作性ではなく、素材の選択又は配列における創作的表現にあるとして、控訴人の主張は認定を左右しないと退けた。各投稿における適法引用の主張もいずれも認められず、被控訴人の発信者情報開示請求を全て認容した原判決は相当であるとした。